■ はじめに
こんにちは。タイ出身のトラベルインフルエンサー、アウンワラ・ノムヌンタサップです。私はこれまで東京に3年間住み、その間に北海道や東北地方の一部、福岡など、日本各地を旅してきました。また、関東地方では、茨城の花火大会をはじめとする日本の祭りにも数多く参加してきました。
そのような経験をしてきた私ですが、今回初めて訪れた街があります。それが、岐阜県多治見市です。私は今回、タイ人代表としてモニターツアーに参加し、自転車で街を巡るサイクリングツアーを体験しました。その結果、これまで私が訪れてきた日本の有名観光地とは異なり、多治見市では、より落ち着いた雰囲気の中で、日本の日常に近い時間を過ごすことができました。
特に印象に残ったのは、自転車で巡るという旅のスタイルです。自転車だからこそ、街の空気や風景を肌で感じることができ、観光地をただ「見る」のではなく、「その場所に滞在する」ような感覚を味わうことができました。また、移動のスピードがゆっくりであるため、街の細かな魅力や人々の暮らしにも、自然と目が向きました。
この記事では、タイから日本旅行を考えている皆さんに向けて、私がモニターツアー参加者として実際に体験し、感じた多治見市サイクリングツアーの魅力を、タイ人の視点から率直にお伝えします。そして、「次の日本旅行では、どこに行こうか」と考えている方にとって、多治見市が新しい選択肢の一つとなれば嬉しく思います。
■ サイクリングツアーで巡る、岐阜県多治見市とは?
「 岐阜県多治見市を巡るサイクリングツアー 」URL :https://discovernagoyatours.com/tours/1251.html
岐阜県多治見市は、1300年以上の歴史を持つ日本の伝統的な焼き物「美濃焼(みのやき)」の主要産地の一つとして、国内外から高い評価を受けている地域です。そして現在も市内には多くの窯元が残り、シンプルで美しく、日常生活に寄り添う茶碗や皿、湯のみなどが丁寧に作られています。そのため、街を歩くと陶芸工房やギャラリー、ショップが点在しており、訪れる人は職人たちの技や、陶磁器に込められた日本の美意識を身近に感じることができます。
そんな多治見の魅力は、陶磁器だけではありません。たとえば地元で人気の鰻と日本料理の老舗「老鰻亭 魚関(ろうまんてい うおせき)」。ここは新鮮な魚介類を使った上質な和食が食べられる店として有名です。また、料理は多治見の美しい陶器に盛り付けられているため、料理と器が一体となった食体験は、この街ならではの贅沢であり、多治見の食文化と陶芸の深い結びつきを実感できる場所です。
その他、日本仏教文化における極めて重要な存在として、「虎渓山永保寺(こけいざんえいほうじ)」も欠かせません。ここは歴史ある禅寺で、特に秋の紅葉の季節には、美しい庭園と静寂に包まれた空間が広がります。
伝統、文化、歴史。これらがコンパクトにまとまっている多治見市は、観光地として派手さはないものの、日本の日常や文化を深く感じられる、非常に魅力的な町です。
■ おすすめスポット①虎渓山 水月窯(こけいざん すいげつがま) ― 伝統的な陶芸窯の世界を体感できる場所
タイにも伝統的なタイのデザインと色彩を反映させた「バンコク陶器」、北部の伝統技術を活かし、素朴で温かみのある風合いが魅力の「チェンマイ陶器」、古代スコータイ王朝の文化を反映したデザインが多い「スコータイ陶器」といった有名な陶器が存在します。しかし、これらの伝統的な陶器よりも長い歴史の中で培われた高度な技術と、現代のデザインが融合されたものが美濃焼です。
陶芸窯「水月窯(すいげつがま)」は、多治見市が誇る美濃焼の文化と深く結びついており、代々受け継がれてきた伝統的な技法を守りながら、現在も高品質な陶磁器を作り続けています。実際に窯を見学してみると、水月窯では日常使いの器から芸術性の高い作品まで、幅広い陶磁器が制作されていることが分かります。また、シンプルな造形や自然な釉薬、そして控えめながらも奥深い美しさは、日本の陶磁器ならではの魅力だと感じました。その他、見学中には陶器制作の工程を間近で学ぶことができ、職人の方々が一つひとつ丁寧に作業する様子を見ることができます。
そのため、この場所に訪れれば、美濃焼を通じて日本文化に触れることの楽しさを学べると同時に、自分の国の芸術文化との違いを見つけてみるのも面白いと思います。
■ おすすめスポット②「老鰻亭 魚関(ろうまんてい うおせき)」 ―最高級のうなぎ丼を堪能できる名店
私の故郷タイにも鰻を食べる文化があり、日本食を扱うレストランでは鰻料理を食べることができます。また、タイ産のウナギである「マダラウナギ」も、蒲焼きにするとニホンウナギに近い味わいがあり、とても美味しいです。しかし、日本の老舗で味わう鰻は、料理が運ばれてきた瞬間の香りや、一口目の食感、味わいがまったく異なります。
老鰻亭 魚関の鰻は、濃厚な旨みとほのかな甘みが調和した逸品です。表面は軽やかにカリッと仕上げられ、内側はふっくらと柔らかく、丁寧に焼き上げられています。また、伝統的な醤油・砂糖・みりんを用いたタレが、鰻の豊かな風味を引き立て、重さを感じさせない深い味わいを生み出します。
そのため、温かい状態で提供される鰻は、ご飯の上に優雅に載せられ、贅沢なひとときを演出します。さらに、美濃焼の器に盛り付けられていることで、洗練された美しさとともに、特別な食事の時間を楽しむことができます。
■ おすすめポイント③ 虎渓山 永保寺(こけいざん えいほうじ) ― 静寂と美しい庭園に包まれた、歴史ある禅寺
多治見市を訪れたら、ぜひ足を運んでほしい場所の一つが、「虎渓山 永保寺」です。永保寺は鎌倉時代に開創された臨済宗南禅寺派の寺院で、境内全体が静かで落ち着いた空気に包まれています。(アユタヤ王宮内にあった最も重要な寺院「ワット・プラシーサンペット」や、ラーンナー様式の寺院を思わせる、深い歴史的重みを感じさせるお寺です)
境内にある庭園は国指定名勝庭園に指定されており、国宝の建造物がある国名勝庭園としては日本一の広さを誇ります。また、本堂前に立つ樹齢約700年とされる大イチョウの木は、多治見市天然記念物に指定されており、その堂々とした姿は訪れる人々に深い印象を与えます。
私たちタイ人にとって、寺院は非常に身近なものですが、永保寺もまた、この地の人たちにとってとても身近で、この土地の歴史や文化を象徴する存在です。サイクリングで少し汗をかいた後に、このような静寂に満ちた空間を訪れることで、日本の自然に対する美意識や文化をより深く感じることができると思いますので、皆さんもぜひ訪れてみてください。
■ おすすめポイント④ 本町オリベストリート ― 陶磁器文化と街歩きを楽しめる、多治見らしい散策エリア
本町オリベストリートは、明治~昭和初期まで美濃焼の陶磁器問屋が軒を並べ多治見の商業の中心として大いに賑わった場所です。現在は美濃焼文化を今に伝える散策エリアとして整備され、岐阜県出身の戦国武将で、茶人でもあった古田織部の自由で斬新な精神を現代の街づくりに取り入れています。特に陶土創造館周辺には、個性豊かな陶器店やギャラリー、骨董店が軒を連ねており、この地で育まれてきた古陶磁文化の息吹を感じることができます。
今回はその中から、オリベストリート沿いにある「土」をコンセプトとした複合施設「THE GROUND MINO」に立ち寄りました。施設内には美濃焼を扱うショップやギャラリー、美濃焼の器を使ったレストランなどが揃い、施設全体で美濃焼の魅力を堪能することができます。そのため、多治見市サイクリングツアーの締めくくりにふさわしい場所だと思いました。
■ まとめ
今回は、岐阜県多治見市を巡るサイクリングツアーのおすすめポイントをまとめてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。美濃焼の主要産地として1300年以上の歴史を持つ多治見市では、伝統的な陶芸文化に加え、老舗料理店で味わう食文化や、虎渓山永保寺の静寂に包まれた歴史的空間など、日本の日常や美意識を身近に感じることができます。そうした魅力あふれる町を自転車で巡ることで、町の空気や人々の暮らしをより深く体感でき、派手さはないものの、心に残る旅となりました。多治見市は、日本旅行の新たな選択肢としておすすめできる魅力的な町です。皆さんもぜひ、次の日本旅行で訪れてみてください。
