困りごと・悩みごと・面白いこと
2023.06.30

マレーシア出身の私が日本で生活をしていて面白いと感じたこと:日本語

 Apa Khabar!你好!Hello!こんにちは!様々な文化が共存する多民族国家としても有名なマレーシア出身のリールーユーです。私は13歳の頃から卓球のマレーシア代表として試合に出場していたのですが、良いパフォーマンスを維持するためには、怪我の予防を徹底することが重要だということに気付きました。そこで、スポーツ健康科学に関する知識を更に向上させるためには何処へ留学することが1番いいのかと考えた結果、学べる環境が揃っていた場所が日本の大学院だったので日本へ留学することを決めました。将来は、スポーツ健康科学に関する研究者、教授、またはスポーツリハビリテーターになり、様々な競技で活躍する選手達の怪我やリスクを減らし、総合的なスポーツパフォーマンスを向上させるお手伝いをすることが目標です。

■日本語は1つの言葉に対して複雑なニュアンスが含まれていることが多くて面白い

 日本語を学んでいると理解できるようになったと思っていても、他の国の言語とは違い、1つの言葉に対して複雑なニュアンスが含まれていることに気付き戸惑うことがあります。そして、これらの意味を正しく理解するためには、日本語学校へ通い教科書で学ぶだけではなく、実際に体験して相手の行動や前後の文脈を読み取り、高度な感覚を身につけて学ぶ必要があります。しかし、「難しい」と感じすぎてしまうと、せっかく学んできた日本語も使うことが楽しくなくなってしまうので、今回は、私が居酒屋でアルバイトをしていた時に1番多く使った複雑なニュアンスが含まれている日本語をご紹介したいと思います。これが理解できるようになると皆さんも日本語力に自信が持てるようになると思うので、「難しい」と感じるのではなく「面白い」と感じていただけたら嬉しいです。それでは、アルバイト先で学んだ面白い日本語を3つご紹介します。

■アルバイト先で学んだ面白い日本語①おはようございます

 その日、私はお昼過ぎに出勤したのですが、店長は私を見て「おはよう」と挨拶をしました。私は一瞬、聞き間違いをしたかな?と思ったのですが、きっと店長は朝早くから働きすぎて、お昼を過ぎていることに気付いていないのかな?とも思ったので、店長の言葉に合わせて「おはようございます」と返事をしました。しかし、次の日も店長はお昼過ぎに出勤をした私を見て「おはよう」と挨拶をしたので、この違和感を店長に確認したいと思い、私は店長に「午後なのに、どうして“おはよう”と挨拶をするのですか?」と質問をしました。

店長が教えてくれたこと

 「通常、日本でも挨拶をする時は、朝は“おはよう” 昼は“こんにちは” 夜は“こんばんは” と挨拶をします。しかし、飲食業界のようなサービス業では、人によって働く時間が違いますよね?(例:店長は朝から、私は昼から)そこで、働いている時間に合わせて挨拶をするのではなく、どの時間から働いている人に対しても“早い時間からご苦労様です”という労いの気持ちを込めて“おはよう”ということが、この業界では多いです。」と教えてくれました。私はこの話を聞いて、自分がこれまで日本語を勉強する時に意識したことのない日本語のニュアンスを知れたことに驚き、もっと日本語について深く学びたいと思うようになりました。

■アルバイト先で学んだ面白い日本語②大丈夫です

 この話は、接客を経験したことのある留学生が全員共感できることだと思うのですが、お客様が食事を終えたタイミングで、スタッフの私が「こちらのグラスをお下げしてもよろしいでしょうか?」と質問した場合、日本人のお客様は99%“大丈夫です”と答えます。私は最初、「まだこのグラスは必要だから下げないでください(このままで大丈夫です」という意味だと思い、からっぽのグラスを何につかうのかな?それとも、からっぽのグラスを机に置いておくことが日本のマナーなのかな?と思い戸惑いました。

 この他にも、会計の際、私が「レシートは必要ですか?」と質問した場合、日本人のお客様は「大丈夫です」と答えます。私はこの時も大丈夫は何に対して大丈夫なのか意味を理解することができなかったので、渡さないよりは渡した方がいいと思いお客様にレシートを直接渡しました。

お客様の言葉で学んだこと

 日本語の“大丈夫”は相手の問いに対して受け入れる時も、断る時も使える言葉です。例えば、「グラスをお下げしてもよろしいでしょうか?」という言葉に対して「大丈夫です」と答えた場合は、質問に対して受け入れている時の“大丈夫”で、「グラスは使わないので下げてください」という意味です。しかし、会計の際「レシートは必要ですか?」という言葉に対して「大丈夫です」と答えた場合は、質問に対して断る時の“大丈夫”で、「レシートは不要です、いりません」という意味です。

 日本ではストレートに言葉を伝えるよりも、曖昧な言葉で伝え、相手もそれを理解するという文化があります。この曖昧な言葉に対して的確な答えを導き出せるようになるためには、教科書を読むのではなく何度も経験をして慣れる必要があるので、私はアルバイト先で学ぶことが出来てよかったと思いました。

■アルバイト先で学んだ面白い日本語③すみません

 皆さんは飲食店で日本人のお客様が注文をする際“すみません”と一言スタッフに声をかけてから注文する光景を見たことはありませんか?私はアルバイト先でその光景を何度も見かけたことがあったので、お客様に“すみません”と言われた場合はスタッフを呼ぶ時の合図だと思っていました。しかし、料理をお客様の席へ運んだ際、1人のお客様が普段とは違うタイミングで私に「すみません」と言いました。私はこのお客様は注文したいことがあるのだと思い急いでメモ帳を取り出したのですが、この後、私とお客様は無言で5秒程見つめ合うことになってしまいました。

お客様の言葉で学んだこと

 実は、この時にお客様が言った“すみません”は(料理を運んできたスタッフ(私)に対して“ありがとうございます”という意味でした。しかし、私は何か注文したいことがあるのかな?と誤解してしまったため、お客様と5秒間無言で見つめあうことになってしまったのですが、この経験をしたことで日本語の“すみません”は「依頼」「感謝」「謝罪」と異なる意味で使うことができる万能な言葉だということに気付きました。たとえば、離れた場所にいるスタッフに対して呼びかける時に使う“すみません”は相手に対して依頼したいことがあり、「ちょっといいですか?」という意味です。次に、私がお客様と5秒見つめあう前に言われた“すみません”は相手に対して感謝を伝えるための「ありがとうございます」という意味です。最後に、遅刻してきた人が待っていた相手に対して使う時の“すみません”は謝罪をするため「待たせてしまい、ごめんなさい」という意味です。

 ちなみに、この万能な日本語“すみません”は普段友達と過ごしている時や、カジュアルな場面で使う場合はいいのですが、ビジネスシーンで謝罪をする場合は「申し訳ございません」、感謝を伝える場合は「ありがとうございます」と丁寧な日本語を使う必要があります。覚えておくととても便利なので、皆さんも使ってみてください。

■まとめ

 今回はアルバイト先で学んだ面白い日本語を3つご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?面白い!と思っていただけたでしょうか?日本で接客業について学ぶと言語能力だけではなく、状況を把握することの大切さやお客様とのコミュニケーションを取る感覚の大切さについて様々な角度から学ぶことができます。日本語は1つの言葉に対して複雑なニュアンスが含まれていることが多くて落ち込むこともありますが、新しい発見をしたことに対して「楽しい!」と思う癖をつけると、日本語力もコミュニケーション力も高くなるので、皆さんも是非、楽しみながら日本語を学んでください。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

リー ルーユー

国・地域
マレーシア
居住地
千葉県
得意カテゴリ

会員登録すると
アルバイトに応募したり、おすすめ情報をメールで受け取ることができます。

You can apply and get some recommended newsletter if you register.

Free!
会員登録(Register)