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2024.10.21

中国出身の私が日本で見つけたオススメの場所:栃木県 男体山

■自己紹介

 こんにちは。中国最大の経済都市「上海」を含む華東地区出身のゲン リカです。私は2016年から2019年まで上海の広告代理店でコピーライターとして働いていたのですが、独創的な発想力を活かして新しいことに挑戦し続ける日本のクリエイターのような働き方に憧れ、日本に留学しました。現在は日本語学校へ通っていますが、卒業後は自分の経験や知識を活かして日本で働く予定です。ちなみに、最近はラーメン屋巡りや登山にはまっています。登山に関してはまだ初心者ですが、少しずつレベルアップしていき、もっと高度な山にも挑戦できるようになりたいです。よろしくお願いします!

■今回栃木県にある男体山を紹介しようと思った理由




 今回私が、栃木県日光市にある標高2,486mの火山「男体山」を紹介しようと思った理由は、日本で登山の魅力にとりつかれてしまった私が登った山の中で、最も楽しく登ることのできた山だったからです。中国には5つの国にまたがる巨大な山「喜马拉雅山脉/チョモランマ(ヒマラヤ山脈)」や、世界一登るのが難しいと言われている山「喀喇昆仑/カラコルム(K2)」といった山もあります。しかし、私が生まれ育った華東地区周辺は、起伏が少ないなだらかな丘陵地なので、登山を楽しめるような山がありませんでした。さらに、大学卒業後に私が住んでいた上海にある高い山は標高96mの「佘山(シェーシャン)」だったので、実際に友達と登った時は10分で山頂についてしまい虚しく感じました。そのため、日本へ行ったら登山に挑戦したいと思い東京近郊の山を色々調べ登ってみたのですが、日本には気軽に登れる山が多かったため、登っているうちに登山の魅力にはまってしまいました。そこで今回は、登山の魅力や私のお気に入り栃木県日光市にある男体山の魅力、男体山を登った際の面白いエピソードなどをご紹介したいと思います。

■登山の魅力:幸せな気持ちになる挨拶文化




 私は日本で登山をはじめてから、日本人に対するイメージが大きく変わりました。たとえば、以前は日本人に対して運動を嫌い、あまり外出もしない人たちが多いという固定概念があったのですが、実際は登山をしたりキャンプへ出かけたり、休みの日はアクティブに行動する人が多いことを知り驚きました。(中には数十年登山を続けている人もいました)

 さらに、日本人は外国人とのコミュニケーションを苦手とする人が多いと思っていたのですが、山を登っていると、多くの日本人がすれ違い際に「こんにちは」「山頂まであと少しですよ!」「がんばって!!」と必ず声をかけてくれます。私はこの文化が大好きになり、山へ登ることが楽しくなりました。日本には他の国と比べて、難易度のことなる登山ルートが沢山あります。そのため、初心者でも少しずつ高い山へ挑戦し続ければ、数年後には富士山のような高い山にも登れるようになります。この恵まれた環境を活かさなければ勿体ないと思いませんか?皆さんもぜひ、日本で登山に挑戦してみてください。

■男体山の魅力:ゲームをクリアするような登山体験ができる




 日本では、山の麓から頂上にいたる登山の行程を10区分し「合目(ごうめ)」という単位で表します。ただし、この単位は距離や標高を表したものではなく、登山の起点となる場所を基準として10区分したものなので、この単位を基準にすることで自分のレベルに合わせて登山を楽しむことができます。私は、この面白い考え方に着目し、今回の登山をゲームにたとえました。すると、初心者の私には厳しく険しい道のりも最後まで諦めずに登ることができたのでご紹介したいと思います。

1合目~4合目:ゲーム序盤(本当の闘いはこの先にある)

 1合目から4合目までは雑草や木の根が生い茂る緩やかな道を進みます。この時の私は、「合目」が距離や標高を表したものではなく、登山の起点となる場所を基準として10区分したものだということに気付いていなかったので、4合目まで登ったことに対して正直「楽勝」だと思っていました。まさかこの後、あんなことになるなんて・・・・・・

※男体山の登山道入口は4合目の白い鳥居からです。白い鳥居を発見したら、ここでしっかり栄養と水分を補給しましょう!

5合目:息切れの森(登山はそんなに甘くない)




 5合目を過ぎると急に道が険しくなります。そのため、数m登っただけで呼吸が荒くなり、1合目~4合目で消耗した体力以上の体力を一瞬で奪われてしまいます。幸い5合目付近には休憩所があり、体を休めることができたのですが、安易な行動を選択すると直ぐGAMEOVERになってしまうので注意が必要です。

6合目~7合目:中級レベルのボスが登場(男体山は活火山だった)




 6合目を過ぎると中級レベルのボス(大きな岩)が登場です。現在、男体山の火山活動は静穏ですが、6合目付近にある大きな岩を見ると、改めて男体山が活火山だったことを思い知らされます。とくに、7合目付近にはロープ場が数箇所あるので、体全体の筋肉を動かして一生懸命よじ登らなければなりません。(※ここで翌朝の全身筋肉痛は確定です・苦笑)

 この状況をドラゴンボールで例えるなら、見た目は可愛いのに絶望的な強さを誇る「魔人ブウ」と山道で遭遇した感じです。最初は見た目に騙されて「かわいい」と思っていたのに、戦うと誰もが「勝てない・・・」と心が折れそうになる。男体山の6合目~7合目は、あの感じにとてもよく似ています(笑)私は7合目を登りながら、ここではじめて「男体山は初心者向けの山ではない」ということを強く実感しました。

※私は日本のアニメ「デジモンアドベンチャー」や「ドラゴンボール」が好きなので、今回はドラゴンボールのキャラクターで例えてみました。

8合目~9合目:ラスボス登場、砂利道注意(ガレ場は要注意)




 8合目~9合目になると、「ガレ場」と呼ばれる大小さまざまな石が散乱する足元が不安定で歩きにくい山道が続きます。ここでは常に2歩進んで1歩下がるような感覚が続き、6合目~7合目のロープ場でいじめられた筋肉たちが悲鳴をあげます。

 この状況をドラゴンボールで例えるなら・・・やはり、ダメージを受けてもすぐに復活する「魔人ブウ」ですね。それも、「悟飯」「ピッコロ」「悟天」「トランクス」を吸収している状態の最強「魔人ブウ」なので、一瞬でも気を抜くと前へ進めなくなってしまいます。「ここまでよく頑張った」と自分を誉めて終わるのか、それとも歯を食いしばって「あと一歩!山頂まで必ず行く!」と強い気持ちで自分の体を動かし進むのか、究極の選択を迫られます。

10合目:ゲームクリア!!(山頂の天気は運!?)




 私は、最後の力を振り絞って9合目を登り、10合目へたどり着くことができたのですが、山頂からの景色は言葉では言い表せないほど素晴らしく、感極まって涙が出そうになりました。

※男体山付近は雲に覆われていることが多いため、山頂まで登っても山の真下にある中禅寺湖や美しい景色が見えない場合があると言われています。しかし、私が登った日は、珍しく晴れていたため、山頂から美しい景色を堪能することができました。

■登山中の面白いエピソード:午後3時までに山頂へたどり着けなければ強制終了!?




 男体山では登山者の安全を確保するための入山規制があるため、男体山を登りたい人は朝6時からお昼の12時までに入山する必要があります。私たちは、入山時間が迫るお昼の少し前に山へ入ったのですが、想像よりも厳しい山道が続いたため、8合目付近で疲れて座り込んでいました。

 すると、私たちの前を通りかかった男性が休憩する私たちを見て「午後3時になっても山頂へたどり着けなかった場合は、登山を諦めて下山しなければならなくなるよ!」と言ってきたため、私たちは驚いて立ち上がり、再び山頂を目指して登りました。結果、私たちは午後3時までに山頂へたどり着くことができたのですが、なんとこの話は後に男性の作り話(嘘)だったことがわかりました。

 その後、男性とは長く話すことができなかったので真意はわからないままですが、実際、午後3時を過ぎると山頂付近は雲が多くなったので、あのまま8合目で休憩をしていたら、私たちが山頂に到着した時に見た美しい景色とは出会えなかったでしょう。つまり、男性は私たちを励まし、最後の一歩を振り絞らせるために作り話(嘘)を話してくれたのだと思います。日本で登山をしていると、初対面の人同士でも挨拶をしたり、励まし合ったりすることがあるのですが、そういった小さな出会いも私が日本での登山にはまった理由なのだと改めて思いました。

■男体山を登る時の注意点

・登山受付で入山料1,000円を支払う必要があります
・受付時間は朝6時~お昼12時までです
・クマが出没することがあります
・初心者向けの山ではないので、念入りに準備する必要があります
・男体山に入山できるのは毎年4月25日から11月11日までです

■まとめ



 男体山へ登った後、私たちは鬼怒川温泉へ移動して疲れた体をゆっくり癒し、翌朝は日本で10番目の世界遺産として登録されている日光東照宮へ参拝しました。今回、怪我することなく山頂まで登り目標を1つ達成できたのは「男体山へ登りたい!」という強い気持ちと、計画的に体力を作り上げた結果だと思います。しかし、どんなに準備をしていても何があるかわからないのが登山です。私は、この素晴らしい経験を日本に住んでいる全ての留学生たちに体験してもらいたいと心の底から思うので、もし男体山へ登ることがあれば、しっかり準備をして登ってほしいと思います。そうすれば、きっと他では体験できない素晴らしい経験ができるはずです。また、山へ登る時は私の考えたゲーム感覚で登山を楽しんでもらえたら嬉しいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


ゲン リカ

国・地域
中国
居住地
東京都
得意カテゴリ

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