エンタメ
2022.12.05

フランス出身の私がオススメする日本のエンタメ:浮世絵、春画

■私の人生を大きく変えた「浮世絵」の魅力をご紹介

 Bonjour!(ボンジュール:こんにちは)2000年に来日し、日本での生活は今年で14年目(※2000年から2010年の10年と2019年から2022の4年合計14年)、フランス出身のレゴフ ルイスです。私は7歳の頃に叔父から貰ったクリスマスプレゼントで浮世絵のことを知ったのですが、浮世絵の本を手に取った瞬間、目に飛び込んできたカラフルな浮世絵カラーに心を奪われ、以前よりも増して日本文化に興味を持つようになりました。皆さんは美人画で有名な喜多川歌麿(きたがわうたまろ)や鈴木春信(すずきはるのぶ)、「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」を描いた葛飾北斎(かつしかほくさい)、歌川派に15歳で入門し「相馬の古内裏(そうまのふるだいり)」や様々な物を擬人化した作品を数多く描いた歌川国芳(うたがわくによし)といった浮世絵師達のことを知っていますか?彼らは私が体験したことのない文化や江戸時代の日常、「侍」「漁師」「歌舞伎役者」「芸者」「妖怪」といった様々なキャラクター達を今にも本から飛び出しそうなくらい力強いタッチで描いているのですが、彼らの描いた作品を一目見れば、誰もが浮世絵の世界観に夢中になると思います。そこで今回は浮世絵マニアの私が母国フランスの人達にオススメしたい浮世絵の魅力や面白いポイントを紹介したいと思います。

■浮世絵の魅力①独特な浮世絵カラーと臨場感あふれる独自のタッチ



 浮世絵の魅力といえば、世界的にも類を見ない独特な色彩と臨場感あふれる独自のタッチだと思います。たとえば、様々な富士山を描いた葛飾北斎の「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」全46図中の1図、「神奈川沖浪裏」(かながわおきなみうら)を見てみましょう。白と藍で表現された大波は今にも画像の外側へ飛びだしてきそうなほど臨場感に溢れていると思いませんか?激しい大波の音が聞こえてきそうですよね!よく見ると、右側に描かれている船には人が乗っていて海に落ちないよう一生懸命船にしがみついている様子が描かれています。この作品ではコントラストをテーマに色や荒れ狂う大波の「動」「近」と日本のシンボル富士山の「静」「遠」がはっきりと描かれているのですが、オランダの画家ヴィンセント・ファン・ゴッホはパリ万博で紹介されていた葛飾北斎の作品に影響を受け、その後、浮世絵の自由な色彩感覚を自分の作品の中へ沢山取り入れたと言われています。浮世絵作品はどれもキャンパスの隅々まで細かく表現されている作品が多いのでもし浮世絵作品を見る機会があったら是非様々な角度から見ることをオススメします。

■浮世絵の魅力②「性」に対してもユーモアたっぷりな表現力「春画」



 私が春画と出会ったのは15歳の頃だったのですが、出会うまでの私は母国で大人たちから教わる「性」についての知識に凄く混乱していました。なぜならヨーロッパでは恋と性は繋がっていて、とても素晴らしいもの、大人になるためには大切なことだと言いながら、性に関する言葉やジョークは全て下品で、宗教的な観点からみても不健全で汚いと教わるからです。しかし、春画の世界を覗いてみると春画の中で描かれている性は男女問わず平等で性行為は「日常的なこと」「健全なこと」として描かれていますよね?しかも、殆どの作品はユーモアたっぷりに表現されているので、見ていても「不健全」や「汚い」といった感情を抱くことはありません。

 しかも、面白いことに江戸時代では男尊女卑(だんそんじょひ:男性の方が偉く女性は身分が低い)という考え方が根付いていたそうなのですが、春画は一切差別的な考え方で描かれたことがなく、老若男女問わず市民の間でとても親しまれていたと言われています。これはヨーロッパとは完全に真逆のパラダイム(規範となるような思想や価値観)です。でも、15歳の私にとってはヨーロッパの大人たちが教えることよりも江戸時代の日本人が作り出した春画の方が健全で、混乱していた感情も正しく理解できるようになったと感じたので、春画と出会ったことで人間として成長できたと思います。

 あれから時がたち、私にもあの頃の私と同じ年齢の甥っ子がいるのですが、彼を見るたびに春画と出会った頃のことをよく思い出します。今は私が子供だった時よりもメディアが発達しているので、偏った思想に振り回され戸惑うことは少なくなったと思うのですが、ヨーロッパだけではなく世界中の若者達を見てみると年々若者の性に対する興味が薄れ、かわりに鬱や精神病を患う子が増えたと思います。このことに関して一体何が原因なのか、自分の中で答えを見つけることはできていないのですが、「春画」の中で描かれている「性」に対してのユニークな表現は世界中の若者を救う解決方法の1つになるのではないかと思います。

■浮世絵には2つのタイプがある



・肉筆浮世絵(にくしつうきよえ):浮世絵師が直接「絹」や「紙」に筆で描いたもの(木版画よりも歴史が長い)
・浮世絵版画(うきよえはんが):絵師が描いた作品をもとに彫師(ほりし)、摺師(すりし)たちが大量生産したもの

 浮世絵には「肉筆浮世絵」と「浮世絵版画」の2種類があります。上の作品は歌川国貞の「今様見立士農工商 職人(いまようみたてしのうこうしょう しょうにん)という作品ですが、浮世絵版画の場合はこの作品と同じように複数のプロフェッショナルな職人が集まって浮世絵師が描いた作品を何枚も紙に摺っていたそうです。今の時代なら同じ絵画を何枚もコピーすることは簡単ですが、江戸時代に行われていたと思うと、紙が貴重な物とされていたヨーロッパとは違い何枚も色付きの絵を作ることができたことや、プロの画家が描いた作品を身分関係なく手軽に購入して楽しむことができたなんて凄いと思いませんか?

■まとめ

 今回は、浮世絵マニアの私が選ぶ浮世絵の魅力や面白いポイントを紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?浮世絵をまだ見たことのない人は見てみたくなりましたか?コロナ感染症拡大以降、日本では浮世絵を特集したイベントが沢山開催されています。時間があれば皆さんも是非、素晴らしい浮世絵師たちの作品を見に行ってみてください!

レゴフ ルイス

国・地域
フランス
居住地
大阪府
得意カテゴリ
エンタメ

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