簡単なプロフィール
■名前:チュズオリン
■国籍:中国
■出身地:四川省
■日本での生活:5年目(高校1年交換留学、大学4年)
■現在:修士1年(持続可能な観光(サステイナブルツーリズム)についての研究)
■日本へ来た理由を教えて下さい
私の出身地、四川省は日本と同じようにプレートが重なった位置の真上にあり、活断層帯も非常に多いため、これまでも沢山地震の影響を受けてきました。たとえば今から14年前の2008年5月12日。四川省を大きな地震が襲い何万人もの人が命を落としました。(※四川大地震)それから3年後の2011年3月11日。日本でも大きな地震や津波があり、沢山の人が命を落とされましたよね。(※東日本大震災)あの時私は、日本で起きた地震の映像を見て、似た規模の地震だったのにもかかわらず、人々の対応や被災された方の命が助かる確率は日本の方が高いということに気付き愕然としました。そこで「日本の人達が経験から得た地震についての知識を学びたい」と思うようになり、日本への留学を決めました。
現在は、地震のことだけではなく、「持続可能な観光(サステイナブルツーリズム)」を軸に、地域の自然環境を守りながら観光業を活性化させる活動や生活の中に環境保護を取り入れるための研究をしています。再来年の卒業後は日本で博士まで進む予定なので、これからもとことん持続可能な環境について研究を続けたいと思います。
■日本で生活をしていて困ったことを教えてください
私が日本で生活をしていて困ったことは、日本には「暗黙のルール」が多いということです。例えば・・・
・電車やバスの中で電話をかけない(車内が静か)
・学校や会社で会った人とは必ず挨拶をする(お疲れ様ですなど)
・どんな時でもお辞儀をする(エレベーターですれ違う時や、取引先と電話で話すときなど)
日本人としては当たり前のことですが、外国人の私達にとっては凄く不思議な光景で「なぜそのようにするのか理由がわからない」と思い調べてみても暗黙のルールだから、どこにも書いていないことが多かったので理解するのに凄く苦労しました。
■「暗黙のルール」は、どのように克服しましたか?
ひたすらインターネットを使って検索しました(笑)例えば、検索ワードに
検索ワード:日本 同級生や同僚にお土産を渡すときの手順や言葉
・回答:「つまらないものですが・・・」
検索ワード:日本 学校や会社 挨拶
・回答:「お疲れ様です」「お先に失礼します」
このように検索して、1つずつ実践しながら学びました。
■この他に大変だったことはありますか?
この他に大変だったことは日本人がよく使う「大丈夫です!」というフレーズを理解することです。たとえば、体調が悪そうな日本人に「体調大丈夫ですか?」と質問すると体調が悪くても99%「大丈夫です、ありがとうございます」と返事が返ってきますよね?日本人が使う「大丈夫です」は「It's ok」ではなく、気にかけてくれた人に気を使わせたくないから、とりあえず「大丈夫です」と言う時だったり「本当に大丈夫です」と断りたい時だったり様々な意味があり、日本で生活を始めた頃は「どう見ても大丈夫な感じには見えないけれど・・・本人は大丈夫だと言っているし・・・でも大丈夫な感じには見えない・・・どうしよう」と悩んでいました。でも、私は日本で生活をはじめてから5年が過ぎたので、ついに!!日本人が言う「大丈夫です」の空気を読めるようになりました(笑)
■ちなみに、中国ではこのように「空気を読む」といったことはありますか?
中国人は、空気を読みません(笑)なぜならストレートに物事を伝えることが良いという考えがあるからです。体調が悪いなら、悪い。手伝ってほしいなら手伝ってほしいとはっきり伝えるので、空気を読むことはしません。日本とは真逆ですね(笑)仮に、日本人のように大丈夫じゃない時に「大丈夫」と伝えた場合は日本人から見るとお節介だと感じるかもしれませんが、多少強引でも助けます。
■日本で生活をしていて、この考え方は逆だ!と強く感じたことはありますか?
中国では親しければ親しい仲ほど「ありがとう」という言葉を使わなくなります。例えば、引っ越しを家族や従妹が手伝ってくれた時に私が「手伝ってくれて、ありがとう」と伝えてしまうと他人行儀だと思われ、感謝を伝えたつもりが悪い印象を与えてしまいます。日本では親しければ親しい仲ほど「ありがとう」と言葉で伝えることを大切にしますよね?きっと、中国人が日本人に対して「壁がある」と感じたり、日本人が中国人に対して「不愛想だ」と思ったりする原因はココにあると思います。両方の考え方を知っていれば気にすることでもないのですが、真逆の捉え方なので知らないと大きな誤解に繋がってしまいますね。ちなみに、恋人同士でも同じです。中国ではプレゼントをもらっても「ありがとう」と言葉にしません。これは「当たり前」という意味ではなく、「言葉にしなくても互い理解している」という意味があります。私は中国と日本を行き来しているので、日本の感覚になれたまま中国へ帰ると家族に他人行儀だと思われ、中国の感覚になれたまま日本へ帰ると「どうしたの?!」と驚かれます。やはり両方の感覚に慣れるのは難しいですね。
■最後に、これから日本へ来る留学生にメッセージをお願いします
日本で生活をするなら「行動する前に必ず他の人の行動を観察してから行動する癖をつけましょう!」なぜなら、日本は暗黙のルールが沢山あるからです。将来日本で就職を考えている人は特にこの癖をつけることで日本特有のビジネスマナーを身に着けることが出来ます。他の人の前で靴を脱ぐ時は、脱いだ靴を揃えてつま先は外へ向ける。御飯を食べる時は、手を器にそえる。肘は机につかないなど、日本人を観察した後に真似て行動することで自然と日本でのマナーや暗黙のルールを覚えることができます。ぜひ、挑戦してみてください。