オススメの場所
2025.12.15

バングラデシュ出身の私がオススメしたいムスリム向け富士山日帰りバスツアー(ハラールランチとモスクでの礼拝時間付き)

■ 自己紹介

 こんにちは。2019年に留学生として来日したバングラデシュ出身のシャフィです。突然ですが、皆さんは海外旅行に出かけたとき、「自分はこの国で歓迎されていないのではないか」と不安や居心地の悪さを感じたことはありませんか。実際、日本で長く生活している私も、同じような感情を経験してきました。では、この不安や居心地の悪さはどこから生まれるのでしょうか――。その背景には、宗教観や文化の違いが大きく関わっています。

 私の知る限り、日本人が文化の異なる国に行っても「信仰上できないことがある」という場面に遭遇することはあまりないと思います。しかし、バングラデシュ・パキスタン・インド北部などイスラム教徒が多い地域で育った人にとっては、食事や礼拝など守るべき決まりが日々の生活の中で欠かせない存在です。そのため、現地の文化に合わせたくても、宗教上どうしても難しい場面が出てきます。

 たとえば、お祈りの場所が見つからなかったり、ハラール対応の食事がなかったりする場合です。最近は日本でもハラール対応のお店が増えていますが、それでも選択肢が十分とは言えず、信仰を大切にする人ほど孤独を感じやすくなります。しかし、今回参加した日帰りバスツアーは、ムスリムの旅行者に寄り添い、私自身も安心して楽しめる素晴らしい旅でした。そこで今回は、このムスリム向け富士山日帰りバスツアーについてご紹介したいと思います。

■ 素晴らしい旅の始まり、不安の糸がほどけた朝

・ 集合 07:20/出発 07:30
・ 場所 高輪ゲートウェイ駅前バス停
・ オススメポイント:バス停に礼拝所がある

 このツアーの最大の魅力は、ムスリムでも安心して参加できるよう、お祈りの時間がしっかり確保されていることです。集合場所の高輪ゲートウェイ駅前のバス停へ向かうと、バス乗り場には礼拝所まで設けられていました。私はこのことを知った瞬間、胸の中にあった不安の糸がほどけるのを感じました。

 なぜなら、先ほども少し触れましたが、旅先では祈りの場所を探すのに苦労することが多く、そのことで孤独や不安を感じることがあったからです。さらに、このツアーではガイドさんが流暢な英語で富士エリアの歴史や日本人の宗教観、日本流の自然との向き合い方を丁寧に教えてくれました。このことにより、私は安心して旅を始めることができました。

※バス停の礼拝所は、バスツアー到着後も利用することができます。

■ 20秒後の魔法、富士山に出会えた瞬間




FUJIYAMAツインテラス
・ 到着10:00/滞在時間60分
・ オススメポイント:富士山の存在感を全身で感じることができる

 最初の目的地はFUJIYAMAツインテラスです。高輪ゲートウェイ駅前バス停から目的地までは約150分。その間、私はガイドさんの話を聞きながら窓の外を眺めていました。

 すると突然、ガイドさんが「もうすぐ右側に富士山が見えますよ!あと20秒!」と言うので、私たちは窓の外を眺めながら「5、4、3、2、1」と心の中で数を数えました。次の瞬間、まるで魔法をかけたように雪を纏った大きな富士山が窓の外に現れました。その姿はあまりにも美しく、最初は興奮してカメラを構えていた人たちも、次第に圧倒され言葉を失いました。

 FUJIYAMAツインテラスに到着すると、本来はもっと近くから富士山を拝めるのですが、この日はあいにく雲に隠れていました。それでも、河口湖や山中湖が太陽の光を受けて宝石のように輝く様子や、山梨県の街並みを眺めていると、雲の向こうにある富士山の存在をしっかり感じることができました。

■ 河口湖にある唯一のモスクで過ごす優しい時間





富士河口湖マスジド
・ 到着11:30/滞在時間75分
・ オススメポイント:美しい自然の中で美味しいハラール料理を食べたり、祈りを捧げたりすることができる

 FUJIYAMAツインテラスを出発して約30分。次の目的地はこの地域で唯一のモスク「富士河口湖マスジド」です。このモスクは、河口湖のすぐそばにあるハラール認証のカフェの建物内に併設されています。
 到着した瞬間、想像していたよりも立地の良い場所だったので私たちはとても驚きました。さらにカフェのメニューを覗いてみると、カレー、ビリヤニ、パスタ、ピザなど、ハラール料理の種類も豊富です。今回はカフェの料理ではなく、用意されていたハラール認証のお弁当をいただきましたが、鶏の唐揚げ、卵料理、サラダ、カレーなど、どれも美味しく、旅の疲れを癒してくれる味でした。
 食事の後は、併設されたモスクへ行ったのですが、中は広々としていて清潔に保たれており、ムスリムの礼拝に必要な設備もきちんと整っていました。ムスリム旅行者にとって旅先で安心してお祈りできる場所があることは何より心強く、安心感をもたらします。私はこの温かさに満ちた空間で祈りを捧げる人々の姿を見て、とても心が穏やかになりました。

■ 伝統と自然が織りなす静かな空間






西湖いやしの里根場
・ 到着 13:20/滞在時間90分
・ オススメポイント:伝統や文化に触れながら、ここでもハラール料理を食べたり祈りを捧げたりすることができる

 富士河口湖マスジドを出発して35分。最後の目的地である西湖いやしの里根場に到着すると、まず目に入ったのは、茅葺き屋根の家々が山の斜面に寄り添うように整然と並ぶ、美しい昔の日本の集落そのものでした。

 ここはかつて台風と土石流によって壊滅的な被害を受け、多くの集落が消滅した地域です。私はその静かな景色の裏にある歴史や深い悲しみを思うと、胸が締め付けられるような気持ちになりました。しかし、地域住民と関係者が協力し、長い年月をかけて野外博物館として復元したことを知り、その強さと誇りが景色の中に重なって見えました。

 また、村の中を歩くと、工芸品の手作り体験や着付け体験など、昔ながらの日本文化や技術を学ぶことができます。私はその中から、伝統的な金属工芸技法「へら彫金」に挑戦し、猫の絵を描いたオーナメントを作りました。小さな作品ですが、自分の手で仕上げた温もりがあり、旅の記憶をそのまま閉じ込めた宝物になりました。

 さらに、村を歩いていて気づいたのは、この場所にはハラール対応のお店が2軒あり、観光地としての賑わいの中にムスリム旅行者への心遣いが自然に溶け込んでいるということです。私は軽食を買う人たちの笑顔を見て、「ここでは誰もが幸せな時間を過ごすことができる」と感じ、とても温かい気持ちになりました。

■ 帰りの車内で気づいたこと


 高輪ゲートウェイ駅前のバス停へ戻るバスの中で、ガイドさんの様子を観察して気づいたことがあります。それは、ガイドさんがツアー参加者に対して感想を丁寧に尋ね、熱心にメモを取っていたことです。私は、そのことに気付いた瞬間、このツアーに参加して良かったと心の底から思いました。

■まとめ


 この旅は、雄大な自然や美しい文化、そしてハラール料理を楽しむだけでなく、自分らしさを保ちながら穏やかに楽しめる場所がここにあることを実感できるツアーです。特に、ムスリムでも信仰や文化を大切にしながら、日本の魅力を心から感じられることが、このツアーの最大の魅力です。

 また、ガイドさんの丁寧な案内や、環境に配慮したサステナブルな取り組みも、参加者一人ひとりの心に寄り添う温かさを生み出しています。日本の象徴である富士山や伝統的な村、そして安心して祈りを捧げられる時間は、参加者にとってかけがえのない思い出となるでしょう。皆さんもぜひ、安心と温もりに包まれたこの旅で、新たな発見と心の癒しをぜひ体験してください。

FUJIYAMAツインテラス






富士河口湖マスジド






西湖いやしの里根場









シャフィ アブドゥラーイマム

国・地域
バングラデシュ
居住地
千葉県
得意カテゴリ
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