■自己紹介
Apa Khabar！你好！Hello！こんにちは！様々な文化が共存する多民族国家としても有名なマレーシア出身のリールーユーです。昨年は“日本語の面白いと感じるところ”について記事を書きましたが、今回は今年の1月に訪れた新潟県村上市について記事を書きたいと思います。
■新潟県村上市を紹介したい理由
今回、私が新潟県村上市を紹介したいと思った理由は、この町に残るユニークな鮭文化を見つけたからです。私は、この町へ訪れるまで新潟県村上市は1000年以上続く鮭文化の歴史が残る町だということを知りませんでした。そのため、はじめて村上市の駅に到着した際、駅の天井から吊るされた鮭を見て、正直「個性的な鮭の人形を飾る町だな」と思いました(笑)。
しかし、町の中を歩きながら観察してみると、駅だけではなく、家の軒先やお店の天井にも鮭が吊るされていることに気付きました。そこで、私は持ち前の好奇心を発動させ、家の軒先に吊るされた鮭を注意深く観察してみたのですが、なんと鮭の人形だと思っていたものは人形ではなく本物の鮭だったのです。その後、私が吊るされた鮭を触ろうと手を伸ばしていることに気付いた地元の人が、
・軒先に吊るされている鮭は本物だから触ってはいけない
・村上市には1000年以上前から鮭文化がある
・軒先に吊るされた鮭は伝統的な保存方法の1つ
ということを優しく丁寧に教えてくださったのですが、日本海の湿気を帯びた冷たい風に直接鮭をさらすことによって、鮭の余分な水分が抜け、保存料を一切使用しなくても独特な旨味が引き出された塩引き鮭が作れることを知った時はとても驚きました。なぜなら、マレーシアは年間通して高温多湿で降水量も多い国なので、生魚を外に干そうものなら、数時間で腐ってしまい食べられなくなってしまうからです。
私はこのことを知ってから、もっと村上市の食文化について学びたいと思い、鮭に関する歴史や文化などを知ることができる「イヨボヤ会館」へ行ってみることにしたので、次は「イヨボヤ会館」についてご紹介したいと思います。
■村上市内でおすすめの場所：イヨボヤ会館
・“イヨボヤ”とは村上地域の方言でサケ“鮭”という意味です
・営業時間：9時00分～16時30分
・入館料：600円
・アクセス：村上駅から徒歩1.3kmです（※無料バスもあります）
※詳しく知りたい方は、イヨボヤ会館の公式webサイトをご覧ください
■イヨボヤ会館館内のおすすめ：サーモンシアター
私がこの施設で最も感動したのは「サーモンシアター」で見た鮭の映像です。この映像では、鮭と村上に住む人の関わり方を学ぶことができるのですが、川で生まれて海へ下り、産卵時にまた川へ戻ってくる鮭の忍耐強い旅の映像を見た瞬間、私は驚いたと同時に鮭に対して深く感服しました。なぜなら私の故郷マレーシアには淡水と海水の両方の生態系が存在し、多くの種類の魚が独自の生態を持って多様な環境に適応していますが、鮭のように淡水から海に移動し、また淡水に戻る生活環を持つ魚はとても珍しいからです。さらに、村上の鮭は深く冷たい海でたくましく成長した後、生まれた場所に戻るために多くの距離を遡上し、その過程で流れの速い場所や障害物を克服するためにジャンプすることがあります。映像によると鮭のこの行動は、一種の本能によるものらしいのですが、その逞しい姿には、とても感動しました。イヨボヤ会館へ行かれた方は、ぜひサーモンシアターでこの動画をご覧ください。
■イヨボヤ会館のスタッフさんから聞いた話
私は、イヨボヤ会館のスタッフさんから新潟県村上市では昔から“鮭は神様からの贈り物だ”と考える人が多く、感謝の気持ちを込めて神棚に塩引き鮭をお供えする習慣があるという話を聞き、とても美しい考え方だと思いました。何故なら、私の故郷マレーシアでは食事の前に感謝の祈りを捧げることがあっても、それは神様から与えられた食べ物を分かち合うためであり、魚などの食材に対して畏敬の念を持つといった感覚がなかったからです。
村上市以外でも、日本では食事の前に食材に感謝を捧げるため、両手を合わせて「（食材の命を）いただきます」と唱える習慣があります。さらに、食事を終える際も同様に両手を合わせ、食材や料理を作るために手を尽くしてくれた人への感謝を込めて「ごちそうさまでした」と唱える習慣もあります。
私は今回、村上市へ訪れたことで、土地の気候や地理、文化がどれだけ私たちの食生活に深く関わっているのか考えさせられるとともに、自然に対する畏敬の念を抱くことへの大切さに気付かされました。
■新潟県村上市へ行く時の注意点
・交通手段が限られているので、事前に確認しましょう
・車で移動できない方は、タクシーで移動した方が早いです
■イヨボヤ会館以外におすすめしたい場所
・鮭の加工品を製造販売している老舗「千年鮭 きっかわ」
・伝統漁法「居繰網漁（いぐりあみりょう）」
■まとめ
新潟県村上市は、日本の古い伝統文化や食文化を学びたい人にとって最高の観光スポットです。とくに、天井から吊り下がった大量の鮭が並ぶ姿は圧巻で、この光景は村上市でしか見ることができません。また、村上市では10月下旬～11月末頃になると、市内を流れる三面川で木船に乗って行われる伝統漁法の「居繰網漁（いぐりあみりょう）」を見学することができます。興味のある方は、ぜひ新潟県村上市へ行ってみてください！