簡単なプロフィール
■名前:ハンニスファ アユ
■国籍:インドネシア
■留学経験:18歳から8年間オランダで留学と就職(オランダの日系企業)を経験、その後京都大学院へ入学するために来日、京都大学院卒業後は日本国内で就職
■日本での生活:8年目
Halo! (ハロー:こんにちは) インドネシア出身のハンニスファ アユです。私は18歳で親元から離れ、ずっと海外で生活をしていたので、2015年に京都大学院へ入学するために来日した時も正直そこまで留学生活で困ったことはありませんでした。しかし、大学卒業後に日本人の彼と結婚をして子供をお腹の中に授かった瞬間、私は自分の人生で体験したことのないくらい大きな決断をいくつもすることになりました。そこで今回は、日本で出産した時の経験をいかし、皆さんに出産に関する情報をシェアしたいと思います。
■初めての出産で最初に決断しなければいけなかったこと:出産する場所を決める
「妊娠中の女性は実家に帰って子供を産む」この考え方はインドネシアでも一般的です。しかし、国際結婚で初産の場合、あなたならどうしますか?私は、夫との結婚を決めた時から日本に永住すると決めていたのですが、自分が出産することを考えると何が正解なのかわからず凄く悩みました。たとえば、
【インドネシアで出産した場合(日本へ帰ってきてから)】
・子供が病気の時や、育児について質問したい時は誰に相談すればいいのか
・妊娠中は夫と長期間離れて暮らさなければいけないのか
【日本で出産した場合】
・出産経験のある母やお手伝いさんがいない環境で妊娠中大丈夫なのか
※インドネシアでは多くの家庭でお手伝いさんやベビーシッターさんを雇うことができます
このようなことを考える度に凄く不安になりました。しかし、初めての妊娠期間は私だけではなく夫にとっても親になるための大切な時間なので一緒に過ごしたいと強く思い、家族と相談した結果、私は日本で出産することを決めました。
今思い返してみると、日本で出産するということよりも、自分の人生で初めて経験する妊娠や出産に対して不安や緊張を感じていたと思うのですが、日本で出産することを決めてからは文化の違いや考え方の違いは全て受け入れ、1つ1つ丁寧にこの国の文化や出産についての知識を学ぼうと思うことができました。
■初めての出産で2番目に決断しなければいけなかったこと:産婦人科探し
インドネシアで出産をする場合は直接病院へ向かえばいいのですが、日本は違います。私は日本で出産をすると決めた直後、夫のお母さんに相談をしたのですが、「クリニックへ行って良い病院を紹介してもらいましょうね」と言うので「直接病院へ行かないの?!」ととても驚きました。その後、病院での妊娠に関するアンケートや情報カード、病院の先生が話す難しい説明は全て夫のお母さんが対応してくださったのですが、先生が話す内容が何一つ理解できない状態で初めて経験することや覚えなければいけないことが多すぎた結果、私は不安や心細さに押しつぶされて心を閉ざしてしまいそうになってしまいました。
しかし、こんな時に1番大切なことは、心を閉ざすのではなく「聞く耳を持つ」ということですよね。妊娠しているのも、これから出産をするのも私自身。理解できないからと人任せで聞き流すのではなく、教えて頂いたことはメモを取って、気になったことや理解できなかったことは必ず先生に確認をする。そして、よく使う単語は自分でも意味を調べ、頭の中を整理する。私の場合、日本人の妊婦さん達とは違い、理解するスピードが遅いことを気にした時期もありましたが、どうあがいても変わらないことに悩むのではなく、恥ずかしがらずに学ぶ姿勢が大切だと思った私は必死に学びました。その結果、最初は夫のお母さんに全て頼っていた私ですが、数か月後には1人で病院へ通えるようになるまで成長することが出来ました。(あの頃支えてくれた夫のお母さんにはとても感謝をしています!)
■母子手帳や母親学級で世界一のサポートを受けることができる
日本では妊娠11週までに住民登録をしている市区町村の役所や、医療機関、保健センターなどへ行って妊娠届出の提出と「母子手帳」と呼ばれる手帳を受け取る必要があります。私は夫と一緒に保健センターへ行って母子手帳を受け取ったのですが、母子手帳を受け取ることで妊婦健康診査受診票とよばれる補助券がもらえたり、私と赤ちゃんの記録を残すことができたり、この他にも様々なサービスを受けたりできることを知り驚きました。その他、日本では母親学級と呼ばれる場所で出産や子育てに関する基礎知識や栄養教育についても無料で学ぶことができます。私はここへ通うまで、栄養バランスについて考えたこともなかったのですが、担当の先生が健康的な料理の作り方を教えてくださったおかげで、出産後に無理せず元の体重よりもマイナス5キロやせることができました。ちなみにインドネシアでは出産後にマイナス5キロも瘦せることは聞いたことがなかったので、この話を聞いた私の母はとても驚いていました。
■はじめての出産で驚いたこと
妊娠40週目になると、赤ちゃんがいつ生まれてもおかしくないと言われていたのですが、私は40週目をすぎても出産のサインがあらわれなかったため入院することになりました。この時、インドネシアから私の両親もかけつけてくれていたのですが、案内された部屋が大部屋なのを見た私達はとても驚きました。なぜなら、インドネシアではこのような状態で大部屋へ案内されることがないからです。その後、陣痛がはじまるまでの3日間は体を休めることができず、その状態で24時間以上の陣痛が続いたため、私の様子を見ていた両親は「日本の病院どうなっているの!?なぜ何も対応しないの!?」「(主人に)先生に聞いてきて!」と怒っていました。結果、経膣分娩が難しいと判断され帝王切開することになったのですが、今度は手術の順番を待たなければいけなくなり、初めての出産はとても大変でした。でも、無事元気な男の子を産むことができたので今となっては全て良い思い出です。
■まとめ
最初の頃は文化の違いや考え方の違いに戸惑い、正直「インドネシアの方が良かったかな」と思ったこともありました。しかし、実際に日本で出産してみて感じたのは、医療に関するサポートが世界一充実している日本で出産してよかったということです。これがもし、インドネシアや他の国だったら高い出産費用が必要だったと思います。日本語が完璧に理解できなかったことで不安になったこともあります。しかし、私が出会った先生達は妊婦の私に対して常に安心感を与えて下さり、丁寧に根気強く様々なことを教えてくれました。このサポート力が「日本」ですよね。私と同じように日本で子供を授かり、出産も日本で経験する外国人のお母さんたちはとても不安になると思います。でも、先生や家族に感謝する心を忘れず、信じてみてください。きっと皆さんが受け止めてくれますよ。最後まで読んでくださりありがとうございました。