オススメの場所
2025.08.05

台湾出身の私がオススメする日本茶を愛でる旅 in 静岡県

■ 自己紹介

 皆さん、こんにちは!日本の風情あふれる美しい町並みや、日本の近代文学・音楽が大好きな台湾出身のヤンです。 突然ですが、皆さんは普段からお茶をよく飲まれますか?お茶が好きですか?私はお茶を飲むのがとても好きで、夏は水出しの「はとむぎ茶」、冬は温かい「緑茶」を楽しんでいます。また、最近訪れた場所でその土地ならではのお茶に出会ったことをきっかけに、日本各地で栽培される珍しいお茶や、季節に合わせてお茶の淹れ方を変えて味わう方法にも興味を持つようになりました。そんな折、日本三大銘茶のひとつである静岡の銘茶「川根茶」の取材をさせてもらえることになったので、今回は川根茶の魅力や愛で方をご紹介したいと思います。

■ 取材した日

2025年7月15日
静岡県 川根

 残念ながら、この日は朝から大粒の雨が降り注ぎ、山々は深い霧に包まれていました。そのため、快晴のもとで拝めるような絶景を見ることはできませんでしたが、水墨画のような幻想的な風景を見ることができました。そして、私たち取材班は、川根茶を愛してやまない地域スタッフの案内のもと、一台の車に乗り込み取材先を巡りました。

■ 川根茶ってなに?




 川根茶は、静岡県の中部、特に大井川上流域の山間地で生産されており、その独特の味わいや品質から、名高いお茶の一つとされています。そのため、川根茶は、単なる「日常茶」ではなく、贈答用や高級茶としても広く親しまれています。

味の特徴 : 上品な渋みと甘み(飲むと心地よい後味が口の中に残ります)
色の特徴 : 非常に美しい黄金色(高級茶ならではの輝きを放っています)
※ 詳しくは、静岡県公式ホームページをご覧ください。

■ 創業から半世紀を超える老舗茶舗「朝日園




 私たち取材班が最初に訪れた場所は、創業から半世紀を超える老舗茶舗 「朝日園」です。朝日園は、全国品評会農林水産大臣賞受賞をはじめとし、川根茶品評会で4年連続受賞や、20回を超える静岡県知事賞を受賞してきた、まさに静岡の茶文化を代表する存在です。

丁寧なお茶の淹れ方と味わいの違い

 台湾では、お茶を専門的に提供するお店のことを「茶館(ちゃかん)」といいます。残念ながら、お茶好きと言いながら、私は一度もその場所へ訪れ体験したことがありません。そのため、目の前で丁寧なお点前を見ながらお茶を頂く体験をしたのは、この日が初めてだったのですが、スタッフの方が急須で淹れて下さった冷たいお茶を口に含んだ瞬間、繊細な香りとすっきりとした味わいを感じ、驚きました。お茶は淹れ方次第で味が変わるといいますが、普段、ペットボトルの緑茶に慣れていた私にとって、朝日園で頂いたお茶は、お茶の概念を覆すくらい本当に美味しかったです。

 その後、スタッフの方から、一番茶と二番茶の違いや、種類の違いなど、多くの興味深い話を聞くことができたのですが、なかでも海外と日本の茶葉の違いは大変興味深い話でした。簡潔にまとめると、茶葉の大きさの違いは、品種・栽培・摘採・加工方法・目的などさまざまな要因が複合的に影響しているとのことだったのですが、ブレンドや加工の過程で選別することによって、繊細な香りや風味を味わうことができるそうです。その他、店内には様々な種類の川根茶が並んでおり、朝日園ではパッケージの⾊味が異なるのは、収穫時期の違いによるものだと教えていただきました。皆さんもスタッフの方と会話を楽しみながら、自分好みのお茶を探してみてはいかがでしょうか。

朝日園のお茶の美味しい淹れ方

 朝⽇園のお茶は浅蒸しで、⾊は淡く、香りはとても爽やかです。しかし、浅蒸しのお茶は茶葉本来の甘味や香りをそのまま引き出す分、雑味も出やすいため、茶葉の質が⾮常に高くなければ美味しく仕上がりません。スタッフの⽅によると⽔出しでも美味しいのですが、60 度ほどのお湯で淹れると、より⼀層⾃然の恵みを感じられるそうです。

外国人の1番人気は「玄米茶」




 朝日園へ訪れる人の多くは50代前後の日本人女性とのことなのですが、近年では台湾やタイをはじめとする外国人観光客も増えています。また、海外から訪れた方たちに人気のお茶は「玄米茶」で、玄米茶は独特の香ばしい香りに魅了され購入する人が多いとのことでした。その他、朝日園では川根茶以外にも、フルーツ系の紅茶や、生姜紅茶など、季節に合わせたラインナップも豊富なので、気になったお茶を見つけたら、その都度、スタッフの方にお茶の美味しい淹れ方を訪ねてみるのも楽しみの一つだと思いました。

お茶を通して人と繋がり、文化に触れる。朝日園はまさに、訪れた人を川根茶の魅力へと誘うお店でした。

店舗情報

朝⽇園 駅前本店
住所 : 〒428-0104 静岡県島⽥市川根町家⼭ 372-1
営業時間 : 9:00〜17:00 (定休日は⽕曜日)
電話番号 : 0547-53-2058
※ 詳細は、お店の公式ホームページをご覧ください。

■ 新しいスタイルでお茶の香りを届ける「SATOMI製茶 茶房~兆~」




 私たち取材班が次に訪れた場所は、古民家カフェのような趣のある外観と、遊び心あふれるお茶体験が印象的な店SATOMI製茶 茶房~兆~です。特に魅力的なのは、明るくユニークな人柄で、常に新しいことに挑戦する姿勢のオーナー、 高木郷美さんです。その他、川根の里や大井川を一望できるテラス席で、美しい景色を眺めながらお茶を楽しめるのも魅力ですが、取材した日はあいにくの大雨のため、テラスの利用はできませんでした。しかし、ヨーロッパ風のインテリアと和のレトロ感が融合した店内でゆったりとお茶を頂くことができました。SATOMI製茶 茶房~兆~では、体験メニューが豊富なので、自分の興味に合わせたお茶体験を楽しむことができます。

まずはシャンパングラスで乾杯






 日本のお茶と言えば、陶磁器の器に入れて飲むイメージがあると思うのですが、SATOMI製茶 茶房~兆~では、シャンパングラスに注がれたウェルカムティーを片手に「cheers!」と乾杯し、お茶を味わいます。

 ちなみに、この時頂いたお茶は通常のお茶よりもやや濃い味だったのですが、聞けば外国人向けの抹茶入り特別ブレンド茶とのこと。理由は、濃い抹茶色の方が「本格的なお茶」として海外では好まれているため、⽇本⼈向けは抹茶3%に対し、外国⼈向けは抹茶5%で作っているそうです。味もスタイルも時代に合わせて柔軟に進化させた、こだわりぬいた至極の一服を皆さんも体験してみませんか?

二杯目は湯呑に氷をひとつ入れたシンプルスタイル




 二杯目に頂いたお茶は冷たいお茶のひんやりとした口当たりが体にすっと染み渡り、蒸し暑さを忘れさせてくれる清涼感があります。普通の水出しも美味しいですが、氷を使うことで渋みが抑えられ、茶葉の旨味がより一層引き立ちます。また、添えられていたブルーベリー大福は、もちもちの皮にクリームとブルーベリージャムが絶妙にマッチしており、思わず一口でぺろりと完食してしまいました。

お茶の飲み比べ体験




 SATOMI製茶 茶房~兆~では「愛」「美」「輝」という3種の川根茶を使った飲み比べ体験も⾏っており、それぞれ茶葉の香りをかぎながら、通常のグラスで一種類ずつ試飲することができます。ちなみに、⽇本⼈に好まれるのは「愛(優しい甘さ)」、外国⼈に好まれるのは「輝(バランスのとれた⾵味)」とのことですが、私は「美(旨味の強さ)」が⼀番好きでした。お茶の色や香り、お茶を口に含んだ瞬間に感じるお茶の旨味を自分の五感を研ぎ澄ませながら味わう。この場所でお茶の飲み比べをすれば、きっとお茶に対する概念が変わることでしょう。

 余談ですが、この場所へ訪れたら、ぜひオーナーの遊び心がさりげなく込められたテラスの屋根をご覧ください。見つけた瞬間、ほっこりとするはずです。

店舗情報

SATOMI製茶 茶房~兆~
住所 : 〒428-0314 静岡県榛原郡川根本町下長尾 58-1
電話番号 : 0547-56-0672

■ 川根本町で約200年続く川根茶専門の製茶問屋「生粋川根茶 澤本園




 私たち取材班が次に訪れた場所は、川根本町で約200年続く根茶専門の製茶問屋、生粋川根茶 澤本園です。今回は「語る」「聞く」ことをじっくり味わう時間が用意されていました。語られたのは、約200年にわたる茶商としての歴史と、川根に受け継がれる「茶箱」の物語です。

川根茶の歴史や文化を堪能できる博物館のような空間

 生粋川根茶 澤本園は品評会入賞の最高級茶から普段用まで昔ながらの製法にこだわった川根茶を全国に届けています。さらに、茶だけでなく、地元の農産物や茶道具、作家さんが手掛けた茶筒・茶箱なども取り扱っており、その店内は、まるで川根茶の歴史や文化を堪能できる博物館のようです。

様々な用途で活用できる便利なアイテム「茶箱」




 今回、私が特に惹かれたのは、お店に入って最初に目に飛び込んできた色とりどりの和柄で作られた茶筒や茶箱のコレクションです。茶箱は防虫、防湿、防酸化に優れているため、お茶や食品の長期保存に使用しますが、このお店のサイズも形も様々な茶箱たちは、インテリアとしても使用することができます。私は、今回取材するまで、世の中にこんなに便利なアイテムがあることを知らなかったので、茶筒や茶箱の利便性に感動し、自分用に 1 個、茶筒を購入しました。

漫画の聖地だということを知っていますか?




 皆さんは、漫画家・青木幸子さんによるお茶の世界を題材にした本格日本茶コミック「茶柱倶楽部」をご存じですか?じつは、この作品の主人公、老舗茶屋の娘・鈴の実家は「生粋川根茶 澤本園」です。つまり、ここへ訪れれば美味しい川根茶やお茶の歴史について学べるだけでなく、作品の聖地巡礼も行うことができるということです。私は、取材帰りの車内でこの漫画を読んだのですが、お茶について詳しくなれるだけではなく、お茶の生産地の特徴や、お茶の淹れ方なども学べるため、車に揺られながら夢中になって読みました。電子書籍版があるので、気になった方はぜひ、読んでみてください。

店舗情報

生粋川根茶 澤本園
住所 : 〒428-0416 静岡県榛原郡川根本町⽥代 261
営業時間 : 平日 8:30〜17:00/⽇曜祝⽇ 9:30〜16:00(定休日は毎月第3水曜日)
電話番号 : 0547-59- 2136
※ 詳細は、お店の公式ホームページをご覧ください。

■ 遊びながら川根茶について学べる場所「山関園製茶 いっぷく茶処やませき





 私たち取材班が最後に訪れた場所は、川根茶の専門店、山関園製茶 いっぷく茶処やませき です。ここは、地元の契約農家や荒茶工場から直接買い付けているのが特徴です。さらに、店内には自由に座れる喫茶スペースや中央にはお茶専用のポットがあるため、寒い時期には、温かいお茶の淹れ方を学ぶこともできます。

お気に入りのお茶を計り売り




 山関園製茶 いっぷく茶処やませき では、気に入ったお茶をその場で計り売りし、専用の機械で丁寧に袋詰めして提供してくれます。これにより、この場所へ訪れた人はお気に入りのお茶を必要な分だけ購入することができます。また、広々とした店内のギャラリースペースを利用して山関園製茶の自社商品や、お茶にぴったりのお菓子、その他、期間限定の展示販売として洋服・ベビー服・絵画など多彩な商品も取り揃えており、訪れる人にさまざまな楽しみを提供しています。

お茶摘み体験ができる

 この他、7月中旬頃になると、お茶の手摘み体験や焙煎体験、お茶摘み衣装を着ての撮影体験など、家族や友達と楽しめるプログラムが用意されています。今回私たち取材班は天気に恵まれずお茶摘み体験ができなかったのですが、お店の口コミを見てみると、初の茶摘み体験でお茶の魅力にハマった人や、毎年家族で茶摘み体験に訪れている人もいたので、また訪れることができたら、私も茶摘みに挑戦してみたいと思いました。

ソフトクリームやアイスの種類も豊富なカフェ




 山関園製茶 いっぷく茶処やませき のカフェスペースでは、様々な種類のお茶を使ったデザートを食べることができます。私はこのカフェスペースで、粉末になった煎茶と川根本町ゆずがかかったソフトクリームを食べたのですが、ソフトクリームの滑らかな舌触りと、煎茶のほろ苦い旨味や川根本町ゆずのほどよい酸味が同時に楽しめるこのソフトクリームに、一瞬で心奪われました。皆さんはどんなデザートが食べてみたいですか?他にも、川根抹茶プリンサンデーや、SHIZUOKAお茶氷、やませき農園のみかんジュースといった限定スイーツやドリンクも楽しめるので、川根へ訪れたら、必ず山関園製茶 いっぷく茶処やませき に立ち寄ってみてください。

店舗情報

山関園製茶 いっぷく茶処やませき
住所 : 〒428-0103 静岡県島⽥市川根町⾝成 3533
営業時間 : 10:00-17:00
電話番号 : 0547-53-4545
※ 詳細は、お店の公式ホームページをご覧ください。

■ ランチ休憩は大根そばとゆずの店「三ツ星村」

 私たち取材班がお昼時に立ち寄った場所は、大根そばとゆずの店「三ツ星村」です。じつは、静岡県川根本町の名物は、川根茶だけではなく、ご当地グルメの大根そばや特産品の川根本町ゆずも有名だということをご存じでしょうか?つまり、このお店へ訪れれば一カ所で川根本町のご当地グルメや特産品を味わうことができます。しかし、この日の気分は天ぷらが食べたかったので、私は天ぷらそばを注文しました。天ぷらの種類はピーマン、かぼちゃ、さつまいも、そして存在感たっぷりのエビが 3 尾。衣はサクサクで、味もボリューム感も最高の一品です。さらに、薬味として添えられたゆず塩と、ゆず唐辛子がまた絶品。ゆずの香りが口の中でふわっと広がり、辛すぎず、さっぱりとした後味が印象的でした。川根本町へ訪れたらぜひ、三ツ星村で川根本町のご当地グルメを味わってみてください。

■ 川根地区オリジナルの御朱印を集めてみませんか?





 今回ご紹介した静岡県の島⽥市川根地区および川根本町では、茶商や⽣産農家を巡り、各所でオリジナルのお茶の御朱印を集めることができるスタンプ帳「川根茶飲帖(かわねさいんちょう)」を購入することができます。川根茶飲帖は、地域の⼈々が、「お茶をもっと⾝近に感じ、地元の魅⼒に触れるきっかけを作りたい」という思いから⽣まれました。

 現在は13の事業者が参加しており、それぞれ異なる品種や製法による個性豊かなお茶を提供しています。店舗では試飲や購⼊ができる他、お茶にまつわる様々な話を直接聞けるのも魅⼒のひとつです。お茶の御朱印もお店ごとにデザインが異なり、その店ならではの個性が表れていて集めるのがとても楽しいので、川根へ訪れたらぜひ、川根茶飲帖も購入してみてください。ちなみに川根茶飲帖は、1冊500円で販売されており、地元の店舗や観光施設などで購⼊できます。

※ 参加店舗は広い地域に点在しています。そのため、川根茶飲帖を片手にお茶の御朱印集めをする時は⾞での移動がおすすめです。

■ まとめ

 今回の記事では、日本三大銘茶のひとつである静岡の銘茶「川根茶」の魅力や、お茶の愛で方についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか?私は、この取材を通して、お茶の淹れ方が味に大きな影響を与えることや、川根茶の豊かな香りや味わいは、心を落ち着かせ、文化や歴史とつながる体験をもたらしてくれることを学びました。お茶の世界はとても奥深く、知れば知るほどお茶の魅力にはまります。

 まだまだ川根茶の魅力を伝えきれていないのですが、この記事を通して、少しでも読者の皆さんが川根茶に興味を持ち、自分なりの「お茶の愛し方」を見つけるきっかけとなることを願っています。ぜひ、川根茶を通じて、より豊かな日常と心の安らぎを手に入れましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

追記 : 取材後、山関園製茶 いっぷく茶処やませき で購入した水出し緑茶をお店の方の話を思い出しながら自分で淹れてみました。すると、一口飲んだだけで、爽やかな風味が全身をリフレッシュさせてくれたので、思わず大きな声で「うまい!!」と叫んでしまいました。連日の猛暑で体中が疲れていると思うので、リフレッシュしたい方はぜひ、水出しできるタイプの川根茶を探してみてください。一度飲んだらハマりますよ。

ヤン チャオチ

国・地域
台湾
居住地
東京都
得意カテゴリ
オススメの場所

会員登録すると
アルバイトに応募したり、おすすめ情報をメールで受け取ることができます。

You can apply and get some recommended newsletter if you register.

Free!
会員登録(Register)