■自己紹介
こんにちは!長崎大学の情報データ科学部に所属している、留学生のエリーゼです。私は、小学生の頃に日本のマンガと出会い、日本文化に強く興味を持ちました。その後、今から6年前の中学卒業と同時に名古屋の高校へ留学する機会を得たのですが、その頃のホストファミリーが日本のことをいろいろ紹介してくれたおかげで、深く日本の美しさについて学ぶことができました。現在は、大学へ通いながら日本各地のお祭りに参加する長崎大学の「長崎大学 突風」というよさこいチームに所属し、旗手や踊り子として踊っています!趣味は神社やお寺を巡りながら御朱印を集めたり、旅行したりすることです。よろしくお願いします!
■愛知県 名古屋市 緑区 有松町を紹介しようと思った理由

突然ですが、皆さんは名古屋に対してどのようなイメージを持っていますか?名古屋は「食の都」とも呼ばれ、ひつまぶしや手羽先といった外国人にも人気の名古屋名物があります。しかし、どちらかといえば自動車、航空機、工作機械をはじめとする産業都市のイメージが強いと思います。そのため、私は名古屋に観光地と呼べる場所が少ないと考えていましたが、先ほど少しご紹介した名古屋のホストファミリーが、私に名古屋の伝統文化や観光地をたくさん紹介してくれました。そこで今回は名古屋市の中から私が最も魅力的に感じた憧れの町、緑区の有松町について皆さんにご紹介したいと思います。
■緑区 有松町ってどんなところ?

有松町は、江戸から京都までの重要な交通路であった旧東海道に沿って発展したことから、昔ながらの町並みや伝統的な景観も点在している魅力的な町です。また、江戸時代から全国一の絞り染め産地としても知られています。普段は人通りが少なく、とても静かな場所ですが、毎年6月の第1土曜日に開催される「有松絞りまつり」の時期になると、多くの人が町に訪れるため、とても賑やかな雰囲気に包まれます。ちなみに、昨年(2024年)は、有松絞りまつりが開催されてから40回目という節目の年でした! 活気ある町中を散歩していると、人々の明るい声が心地よく、とても癒されます。他にも、有松町周辺には桜や紅葉の名所、絞り染めを体験できる工房などがあるため、1年を通して楽しむことができる町です。
■絞り染めって何?
しぼり染めとは、名前の通り、布を特定の方法で絞ったり、一部分を縛ったりすることで、染料が布に染み込むのを部分的に防ぎ、独特の模様を作り出す染色技法です。今回ご紹介する有松町で誕生した「有松絞り」は美しい模様や色合い、100種類以上に及ぶ絞り技法が特徴で、日本の絞り染めの中でも特に高く評価されています。
有松絞りまつりでは、気軽に絞り染め体験できる場所が用意されているため、私も挑戦したことがあるのですが、染師の方から教わりながら染めたにもかかわらず、大きな丸い模様を染め上げるだけでも15分以上かかってしまいました。ちなみに、小さく細かい柄で着物を染めようとした場合、プロの染師さんたちでも2年~3年はかかるそうです。そのため、総絞りの振袖は、なんと100万円を超え!!私はこのことを知った時、この職人さんたちの忍耐力があるからこそ、日本の伝統工芸や技術が高く評価され、さまざまな分野で輝きを放ち続けているのだということに気付き感動しました。皆さんの国に残る伝統的な服(民族衣装)は、どのくらい手間暇かけて作られているか知っていますか?
私の母国フランスでは、手芸やクラフトの伝統が非常に豊かで、多くの技法やスタイルが発展してきました。とくに、手縫いのレースが主流だった15世紀〜16世紀頃は1センチあたり7時間もの時間をかけて手縫いのレースが作られていたそうです。しかし、上流社会だけではなく庶民の間でも人気を博しだすと、大量生産するために手芸から機械へとかわり、当時の素晴らしい技術は少しずつ失われてしまいました。このような伝統技術は本当に貴重でかけがえのないものです。一度失ってしまうと当時の技術を復活させることはとても難しいと思うので、未来へ残すためにも、多くの人が伝統技術に興味を持ってくれたらいいなと思いました。
■有松絞り以外のオススメ:有松の山車(だし)

山車(だし)とは、伝統的な手法によって美しく装飾された移動式の車両です。山車は町の人々にとって誇りの象徴であり、地域の祭りや行事において重要な役割を果たします。そのため、山車を近くで注意深く観察してみると、地域の伝統的な装飾や、からくり人形といった技術が活かされていることに気付くことができます。ちなみに、有松町には「布袋車(ほていしゃ)」「唐子車(からこしゃ)」「神功皇后車(じんぐうこうごうしゃ)」と3輌の山車が存在し、3輌全て名古屋市から「有形民俗文化財」に指定されています。
有松絞りまつりへ向かう途中、私は一際目立つ木造の扉を見つけました。後に、木造の大きな扉が付いた建物は有松山車会館だということがわかったのですが、当時はこの扉の中にお化けがいるのではないかとドキドキしました。
今ご紹介した山車は、毎年10月第1日曜日に開催される「有松祭り(天満社祭礼)」または、先程ご紹介した毎年6月の第1土曜日に開催される「有松絞りまつり」で見ることができます。その他、有松山車会館では山車3輌のうち、1輌を毎年交代に展示しているので、有松町へ訪れた際は是非、チェックしてみてください。
■まとめ
今回は名古屋市の中から私が最も魅力的に感じた憧れの町、緑区の有松町についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?日本国内を旅行する際、名古屋を通り過ぎてしまう人は多いと思うのですが、小さな町の中に魅力的な伝統や文化がたくさん隠れています。東京と大阪間、または東京と京都間を移動する際、名古屋駅で降りて有松町へ行ってみませんか?昔ながらの町並みや有松町に残る伝統技術に少し触れるだけで心の底から癒されますよ!これから桜のシーズンになるので、少しでも気になった方は是非有松町へ行ってみてください!最後までお読みいただき、ありがとうございました。

