こんにちは。2023年に香港から留学してきた留学生のレイナルドです。私は幼い頃から日本のアニメやドラマを通して日本文化を学び、これらの作品と共に成長してきました。特に好きな日本の作品は、アニメなら「NARUTO」や「BLEACH」、ドラマなら「ブラッシュアップライフ」や「ドラゴン桜」です。そして、これらと同じくらい私が幼い頃から興味を持っていたのは日本の食文化です。なぜなら、私が生まれ育った“香港”と、私が今留学している“日本”は、同じアジアでも食文化や食に対する考え方が異なるからです。
たとえば、香港は土地面積が小さく、香港で使用されている食材の殆どを輸入に頼っています。それに比べて日本は、比較的小さな国ですが、東西南北に長く、国土面積の約70%を森林が占め、周囲は海に囲まれたているため、野菜や魚などの種類が豊富で、季節ごとに異なる食材を味わうことができます。
また、香港では料理人や食材への感謝を言葉にする習慣がないのですが、日本では食事の前後に手のひらを合わせて「いただきます」「ごちそうさまでした」と言う習慣があります。この言葉には食事を用意してくれた相手に対して敬意を表すとともに、「食材に対して“いただきます”→食材の“命”を頂きます」と、「“御”馳走に“様”をつけて食事を用意してくれた相手を敬う」という意味が含まれます。
私は、このような日本人の食に対する考え方が気に入っています。そこで、今回はこのような日本の文化について学べる特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」を通して驚いたことや学んだことをご紹介したいと思います。
■特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」で驚いたこと
①水の硬度が料理の味を左右する
【軟水を使って料理をした場合】
・野菜に味を染み込ませやすくなる
・素材の旨味を上手に引き出すことができる
【硬水を使って料理をした場合】
・肉の臭みが少なくなる
・肉が柔らかくなる
普段生活をしていて、自分の住んでいる場所の水が「硬水」なのか「軟水」なのか気にする人は少ないと思うのですが、この水の硬度が植物を育てる時や、料理をする時に大きく影響するということを知っていますか?たとえば、軟水で煮物を作ると和食にとって重要な「旨味」を上手に引き出すことができるだけではなく、野菜を柔らかく煮ることができます。さらに、軟水で日本酒を造った場合は、なめらかでスッキリとした味になる傾向があります。この結果、和食は他の国と比べて調味料の味よりも、食材本来の味を楽しむことができるというわけです。面白いですよね?ちなみに、日本酒は軟水だけではなく、硬水を使用することもあるそうなのですが、ミネラルを豊富に含んでいる硬水で作った日本酒は、軟水を使用した時よりも旨味を強く感じ、キリっとした個性の強い日本酒になるそうです。水の硬度が料理の味を左右するなんて意識したことがなかったので、この違いについて知った時は本当に驚きました。
※軟水と硬水の違いは水に含まれるマグネシウムイオンとカルシウムイオンの含有量です。
②歴史上の偉人たちが食べていた料理の豪華さ
この特別展では和食の成り立ちについても詳しく学ぶことができるのですが、私はとくに歴史上の偉人たちが食べていた料理を紹介した展示に驚きました。なぜなら、日本の歴史に興味を持っている人なら誰もが知っている偉人、織田信長が1582年5月に徳川家康を3日間もてなした時の料理「十五日おちつき膳」が想像していたよりも豪華だったからです。とはいっても、「十五日おちつき膳」は織田信長にとって重要だった戦いで大きく貢献した徳川家康をもてなす為の料理なので、この時提供された料理は通常よりも豪華です。鯛の焼物、がざめ(ワタリガニ科の蟹/swimming crab)、焼き鳥、まな鰹の刺身、鮑(あわび)・・・眺めているだけでお腹が空いてしまいます。ちなみに、これらの料理は完成してから徳川家康が食べるまで2~3回毒見をするため、温かい状態では食べることができないそうです。昔の偉人たちは大変ですね。
■皆さんに質問です。ラーメンは和食だと思いますか?違うと思いますか?
私はこれまで、和食といえば真っ先に「ラーメン」を思い浮かべていたのですが、皆さんはラーメンを和食だと思いますか?違うと思いますか?正解は、中国の麺料理を日本で“中華そば”として日本風にアレンジした和食です。そのため、中国では日本で食べられているラーメンのことを「日式拉麺(Rì shì lāmiàn/日本風のラーメン)」と言うそうです。この他にも、特別展では「すき焼き」「カレーライス」「ナポリタンスパゲッティ」「焼き餃子」「あんぱん」「カステラ」といいた料理を「これって和食?」と問いながら解説してあったのですが、私の大好物「オムライス」も大正時代に大阪の洋食店がフランスの「オムレツ(omelette)」にご飯を加えて開発した和食だそうです。面白いですよね。これらの情報は私を含めた外国人にとって非常に興味深いものだと思います。私は、この展示会を通してもっと和食について学びたいと思いました。
■まとめ
今回は日本の文化について学べる特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」を通して驚いたことや学んだことをご紹介しましたがいかがだったでしょうか?この特別展の東京会場は終了してしまったのですが、これから日本全国を巡回するという情報を見つけたので、巡回会場となっている
宮城 東北歴史博物館:2024年7月6日~2024年9月23日
長野 松本市立博物館:2024年10月5日~2024年12月8日
愛知 豊田市博物館 :2025年1月18日~2025年4月6日
京都 京都文化博物館:2025年4月26日~2025年7月6日
熊本 熊本私立現代美術館:2025年7月19日~2025年9月21日
計5カ所近くに住んでいる方は是非行ってみてください。
※詳しく知りたい方はコチラをご覧ください
※2025年秋から静岡でも開催予定だそうです。
注意点:この特別展は見所が沢山あります。そのため、2時間くらい余裕をもって会場へ訪れるようにしてください。
私自身、和食が大好きなので、この特別展は和食への理解を深めただけではなく、日本文化についても理解を深めるきっかけになりました。(私は特別展で販売されていた公式ガイドブックも購入しました!)和食に興味がある方、和食が大好きな方は是非、会場へ行ってみてください。きっと、驚きや新しい発見と出会えますよ!最後まで読んでくださり、ありがとうございました。