Sziasztok(シアストク:こんにちは)!2022年の10月に留学生として来日したハンガリー出身のアンナです。前回は私が日本で見つけたオススメの場所、奈良県の「東大寺」についてご紹介させていただきましたが、今回は私の趣味である「手紙」についてご紹介をしたいと思います。
突然ですが、この記事を読んでくださっている人の中に、最近直筆で手紙を書いて送ったことのある人はいますか?私の予想だと、書いたり送ったりしたことがあると答える人よりも、もう何年も直筆で手紙を書いたこともなければ送ったこともないと答える人が多いのではないでしょうか?遠く離れた人とでも携帯電話を使えば簡単にテレビ電話を通して連絡をすることのできる時代なので、あえて時間や手間のかかる手紙を書いて送る人は少ないのだと思います。正直、私も日本で生活をはじめるまでは、自分が手紙やポストカードを書いて送るようになるとは思ってもみませんでした。しかし、大切な人のことを思い浮かべ、ポストカードや便箋を選び、実際に手紙を書いてみると、このアナログな感覚が愛しくなり癖になります!きっと、今は「手紙やポストカードなんて面白くない!」と思っている方でも、私の記事を読めば「書いてみたい!」と思うようになりますよ!それでは早速、手紙の魅力を皆さんにご紹介したいと思います。
■手紙の魅力
①手間や時間をかけて想いを届けられる
②手元に形として残り、触れることができる
③文字を通して伝わる温もり
昨年10月、来日した頃の私はホームシックにかかってしまい、家族や友達が恋しくて憂鬱な日々を過ごしていました。そんな頃に見つけた趣味が手紙を書くことです。私の故郷ハンガリーから日本までは飛行機で17時間以上かかります。そのため、日本から手紙を出すと1週間程時間がかかってしまうのですが、家族や大切な人の喜ぶ顔を思い浮かべながら便箋やポストカードを選んだり、限られたスペースの中で1番伝えたい言葉を綴ったり、文字を通して想いを伝えられたり、ポストへ投函してからも相手の手元へ届くまで常に大切な人のことを思い浮かべることができることに気付いてからは、私は手紙を書くことが好きになりました。
■手紙を通して学ぶ日本の伝統文化
私ははじめて日本の本屋にあるポストカードコーナーを見た瞬間、目の前に広がる美しい光景に思わず息を呑みました。なぜなら、様々な柄や形のレターセットや、日本の美しい景色を収めたポストカードなどが数えきれない程棚に並べてあったからです。特にポストカードは季節に合わせデザインされたものが豊富に並べられていたので、いつ訪れても違ったデザインのポストカードを購入することが出来ます。私は、デジタル化が進み手紙を書く人はめったにいないと思っていたのに、なぜ日本のお店ではレターセットの種類が豊富に揃えられているのか不思議に思い、日本人の友達に質問をしました。すると、日本では季節に合わせて手紙を書き、挨拶をする文化があるからレターセットやポストカードが常に販売されているということを教えてくれました。
■挨拶状って何?
日本の伝統文化「挨拶状(あいさつじょう)」には6種類あります。
①1月1日から1月7日に届くようおくる「年賀状」
― 新年を祝う挨拶状
②1月8日から2月3日の節分までにおくる「寒中見舞い」
― 豪雪地帯や年賀状の返答、喪中のため年賀状が出せない場合におくる
③2月5日から2月下旬までに届くようおくる「余寒見舞い」
― 東北などの寒い地方へ出す場合は3月6日の啓蟄(けいちつ)まで
④7月7日から8月7日に届くようおくる「暑中見舞い」
― 相手の健康を気遣い、体調を崩さないようにと願いを込めておくる
⑤8月7日から8月中までに届くようおくる「残暑見舞い」
― 暑中見舞いと同じ意味。違うのは出す時期だけ
⑥11月上旬から12月上旬までにおくる「喪中欠礼」
― 普段、親しくしている人へ「喪中」ということをお知らせする挨拶状
日本では、1000年以上前から大切な相手へ手紙を出す文化がありました。特に390年程続いた平安時代には「ひらがな」が誕生し、男女関係なく大切な人へ和歌や手紙を書くようになったそうです。その後、鎌倉時代に入ると手紙の最初は季節の挨拶から始まるといった細かいルールが決められ、季節の移り変わりを大切にしていた日本人は、それに合わせて手紙を出すようになり、今も挨拶状をおくる文化が残ったと言われています。
今回ご紹介した挨拶状以外にも、日本では宗教関係なく「母の日」「父の日」「クリスマス」「バレンタイン」と様々な行事に合わせて手紙をおくる文化が残っています。私は日本へ来てから数カ月しか生活をしていないので様々なイベントに合わせて手紙をおくったことがないのですが、桜が咲いている時期に販売される桜のポストカードや、雨がたくさん降る梅雨の時期に販売されるアジサイ(Hydrangea)のポストカード、夏のイベントで打ち上げられる花火のポストカードなど、ハンガリーでは見つけることのできない美しいポストカードを見つけたら大切な人達へ手紙を書きたいと思います。
ちなみに、私が見つけたポストカードの中で最も驚いたものは星や花火の光を再現したポストカードです。このカードは開いたり、ボタンを押したりするとピカピカ綺麗に光ります。値段もお手頃価格なのに、このような小さな仕掛けを作ってポストカード1枚で表現するところが日本らしいと思いました。
■まとめ
今回は私の趣味である「手紙」についてご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか?手紙を送ることはとても簡単で、誰でも挑戦することができます。遠く離れた場所に住む家族や大切な人へ「会いたい」「離れていてもあなたのことを想っています」ということを文字にして正直に書いてみましょう!電話や直接伝えるのは恥ずかしくても手紙なら素直に伝えられますよね!それに、他の国とは違い、日本国内であれば、田舎町でもポストカードを販売しているお店が必ずあるので、旅行のたびに買い集め、イベントに合わせて送ってもいいと思います。そうすれば、他の国に住む人達へ自分が今どんな場所で生活しているのか紹介することも出来ます。
私は日本で生活を始めるまで、相手のことを考えレターセットやポストカードを選び、直筆で手紙を書くことの素晴らしさを全く知りませんでした。しかし、日本の文化に触れ、手紙を書くようになってから、本当の意味で日本人の心を理解できるようになったと思います。先程も紹介しましたが、日本には美しいデザインのポストカードがお手頃な価格で販売されていて、様々な場所で購入することが出来ます。手紙を書くことはとても簡単なので皆さんも是非、挑戦してみてください!最後まで読んでくださり、ありがとうございました。