■皆さんも大きな大会でボランティアに挑戦してみませんか?
こんにちは。台湾出身のシェツァイシュです。前回は北区王子の年末イベント「王子狐の行列」についてお話を させていただきましたが、今回は東京2020オリンピックでボランティアをおこなったときのことについてお話させていただこうと思います。突然ですが、皆さんはボランティアを体験したことはありますか?私は地元台湾にいた時にボランティアを体験してから、自分の得意分野を活かし、誰かのために考えて行動することで、同じ意思を持った仲間ができることや、沢山の経験が自分の自信につながることを知り、率先してボランティア活動を行うようになりました。そこで今回は、これまで私が体験してきたボランティアの話と、ボランティアの魅力についてお話させていただこうと思います。
■東京2020オリンピックボランティアに参加した理由
私が初めてボランティアで参加した大会は、2017年に地元台湾で開催された国際大学スポーツ連盟が主催する総合競技大会「ユニバーシアード」でした。この大会で私は、3カ国語(中国語、英語、日本語)を話せることや、人とコミュニケーションを取ることが得意なことを活かして外国人アスリートの通訳を担当したのですが、通訳をやっていくうちに、この仕事はただ言葉を訳すだけではなく、選手に合わせて伝え方を考え、選手達が万全な状態で競技に臨むことができるようにサポートすることも大切だと気付くことが出来ました。その後、大会中は無我夢中でボランティア活動に没頭したのですが、大会最終日に今大会の優秀なボランティア5名に贈られる賞を受賞することができた私は、もっと自分の語学力を磨いて様々な大会にボランティアとして参加したいという思いが強くなりました。あれから3年、仕事で日本へ訪れていた私は日本で開催されるオリンピックでボランティアを募集していることを知り、こんな大きな大会で自分の語学力やコミュニケーション力を活かせるチャンスを見逃すまいと即応募することにしました。 しかし当初オリンピックは2020年の夏に開催される予定でしたが、コロナウイルス感染症拡大の影響で1年延期になり、それと同時にボランティアの参加人数も大幅に減らされることになりました。しかし、私はどうしてもこのオリンピックでユニバーシアードのボランティアをやったときよりも確実に成長した語学力やコミュニケーション力を活かしてみたかったので「大会ボランティア」に挑戦することを決めました。
■東京2020オリンピックボランティア参加条件
・2020年4月1日時点で満18歳以上
・日本国籍を持っている人、または日本に住む資格を持っている人
・ボランティア研修に参加が可能な人
・「都市ボランティア」は5日以上、「大会ボランティア」は10日以上活動できる方
※大会ボランティア(Field Cast):選手や大会関係者、観客などへの案内・誘導など、大会運営をサポート
※都市ボランティア(City Cast):交通観光/観客の案内/ライブサポートなどにおける案内・運営サポート
※今回私は「大会ボランティア」として参加しました。
■オリンピックボランティアで1番印象に残ったエピソード
オリンピックでボランティアを行う際は、当日まで、どのエリアでどんな仕事を任されるのか決まっていません。この日私が担当した会場は、台湾で最も話題になっていた世界バドミントン連盟(BWF)の世界ランキング1位で、バドミントン・クイーンの異名をもつ女子選手、戴資穎(ダイツーイン)選手と、男子選手、周天成(チョウティエンチェン)選手、王齊麟(ワンチーリン)選手、李洋(リヨウ)選手の4名が出場するバドミントンの会場でした。しかも女子決勝は 台湾の戴資穎(ダイツーイン)選手と中国の陳雨菲(チェン・ユーフェイ)選手の対決だったため、台湾と中国両方の国に関係する方々が沢山訪れ、私と友達の2人は台湾駐在経済文化省の関係者対応を任されることになりました。最初は会場の案内をしたり、日本での生活についてお話をさせて頂いたりしていたのですが、決勝がはじまると雰囲気が一変、会場中のボルテージが上がり関係者やボランティア一丸となって2人の選手の戦いに夢中になりました。結果は、中国の陳雨菲(チェン・ユーフェイ)選手が優勝したのですが、試合後2人の白熱した戦いに会場中が感動し、優勝した中国の陳雨菲選手には敬意を持って拍手が、負けた台湾の戴資穎(ダイツーイン)選手に対しても温かい拍手と「戴資穎選手は台湾の誇りを胸に十分頑張った!」「あなたは私達台湾人の誇りだ!」と温かい言葉がおくられました。もし、オリンピックでのボランティアに挑戦していなければ、世界各国の選手や関係者の方々をサポートするという経験も、言葉が持つ不思議な力や伝えることの意味、スポーツには世界と未来を変える力があることにも気づくことができなかったのではないかと思うと、今回挑戦して本当に良かったと実感することが出来ました。
■まとめ
「ボランティア」という仕事だけに目を向けると誰かのサポートをすることが1番注目されると思うのですが、今回私はオリンピックという大きな大会に参加させていただいたことで、自分の得意分野を活かせるだけではなく、国籍関係なく人と人が助けあうことで、あらゆる文化や考え方を学ぶことができ、自分自身が1番成長できる場所だということを深く実感することができました。皆さんも是非、この感動を一緒に味わってみてはいかがですか?次回のオリンピックは2024年フランスのパリで開催されます。ボランティアの活動はフランス国籍や在留資格を持っていないと難しいと思うのですが、大会に公式参加をしなくても色んな形で携わることはできます。きっと想像を超えた素晴らしい体験ができますよ!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。