永住許可とは?
永住許可とは、入管法第22条によって、在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に、法務大臣が与える許可です。永住許可を受けた外国人は、「永住者」の資格により、日本に在留することができます。※「永住者」は、在留活動、在留期間のいずれも制限されません。審査に関して、基本的には申請者の活動状況、在留状況、在留の必要性等を総合的にかつ公平に考慮して判断されるのですが、最終的に、法務大臣の自由裁量で決められています。つまり、100%許可が下りる明確な基準はありません。しかし、参考として、法務省は次のような永住許可に関するガイドラインを公表しているので、今回はそれに基づいて、説明します。
要件1:素行が善良であること「素行善良要件」
日法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。(具体的に、下記2点)
■日本の法令に違反して、罰金、禁固、懲役などの刑に処罰されたかどうか
■日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行っているかどうか(例:道路交通法違反や、資格外活動の制限超過など)
要件2:独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること「独立生計要件」
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産または技能などから見て、将来において安定した生活が見込まれること。
■年収の目安
「技術・人文知識・国際業務」など就労系ビザから永住申請の場合、過去5年間、1年ごとの年収が300万円以上あることが一つの目安です。よく申請人に、「預貯金が数千万円ある」「数千万円の居住用マンションを一括購入した」場合、年収が300万円未満でも大丈夫でしょうか?と質問されますが、結果から言うと就労系ビザの場合、資産より収入のほうを重視される傾向があります。また、この場合きちんと説明できればいいのですが、逆にその低い収入で、どうやってそこまでの資産形成ができたのか怪しまれますので、ご注意ください。
■転職
転職しても問題ありません。例えば、年収が1.5倍以上あがったり、10人規模の新設会社から500人規模の上場企業に転職したりする場合は、キャリアアップの転職として評価されるため、不利になることがほとんどありません。しかし、給料が下がったり、会社の規模が小さくなったりすると、永住権を取得した後も安定した生活をおくることができるとは評価されにくくなるため注意が必要です。もし、永住権申請前に転職した場合は、最低でも1年以上在籍してから申請することをお勧めします。
■扶養人数
年収の金額も重要ですが、それと同時に扶養人数も重要です。つまり、何人の扶養家族がいて、どのように扶養しているのか?ということです。たとえ収入が多くても、扶養家族が多ければ、生活で使えるお金が少なくなるということなので、安定した生活をおくることができているとはいえません。明確な基準ではありませんが、扶養人数が1人増えると年収は60万円~80万円、年収額の上乗せが必要だと考えられています。つまり、単身者で永住申請をしたい場合は年収300万円でもよいのですが、妻を扶養している場合は360万円~380万円、年収額の上乗せが必要だということです。
要件3:その者の永住が日本国の利益に合すると認められること「国益適合要件」
①原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
②罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
③現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
法律上は「5年」が最長の在留期間とりますが、現時点では在留期間は「3年」でも大丈夫です。在留期間は1年の場合、申請できません。在留期間が「3年」か「5年」の更新ができるまで待ちましょう。
④公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
要件(4)身元保証人がいること
永住許可申請をする場合は、必ず「身元保証人」を用意しなければなりません。身元保証人になれる人は、日本人か、既に永住者の在留資格を持っている方で、日本で安定した収入(年収の目安として300万円以上)があり、納税義務をきちんと果たしている人でなければいけません。勤務先の上司や同僚、学生時代の先生、既に永住取得した友人にお願いする人が多いようです。
身元保証人の保証の内容は、「滞在費」「帰国費用」「法令遵守」の3つですが、連帯保証人の内容とは違います。基本的に経済的な賠償責任を負いません。仮に問題が起こったとしても、入管から滞在費と帰国費用について請求されることはありません。ただし、仮に外国人本人に問題が起こった場合は、身元保証人としての道義的責任が果たせなかったと判断され、それ以降、他の外国人の身元保証人になれなくなるので、ご注意ください。
出典:出入国在留管理庁 永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)
■会社名:GlobaLinX国際行政書士事務所
■代表行政書士 :趙 瑞琳(チョウ ズイリン)
■ライター名 :趙 瑞琳(チョウ ズイリン)
<保有資格>
行政書士
申請取次行政書士(東京出入国在留管理局届出済)
宅地建物取引士
証券外務員一種
<所属>
日本行政書士連合会(登録番号 第21080890号)
東京都行政書士会 (会員番号 第13448号)
一般社団法人日本外国人材協会