インタビュー
2023.09.29

パレスチナ出身の私が日本で興味を持っていること、好きなこと:(日本は)国全体がまとまっているとこ

簡単なプロフィール

■名前:ハムダーン ヌール
■国籍:パレスチナ
■日本での生活:2022年から
■現在: 東京工業大学 大学院
■将来の夢:電気電子に関する知識や技術力を活かして日本で就職したい(物を作りたい)

■自己紹介をお願いします

 こんにちは。パレスチナ出身のハムダーン ヌールと申します。私は昨年の2022年に留学生として来日しました。現在は東京工業大学の大学院に通っています。パレスチナでは昔から日本に対して憧れを抱いている人が多く、私もそんな大人達から得る情報を通して日本に憧れを抱いていました。特に耳にしていたパレスチナ人の日本に対するイメージは「日本人は礼儀正しい」「国全体がまとまっている」です。そこで、私も日本のことを知りたいと思い、中学生の頃からインターネットを利用して気になった日本語の単語や文法を調べ、独学で地道に学んできた結果、日本語が話せるようになりました。

■今回事前に提出していただいた自己PR欄を読んでいて1つ気になったことがあります。「実際に日本で生活をしてみると、思い描いていた日本社会の構造と違っていた」と書いてありましたが、このことについて具体的に教えていただけますか?

 たとえば、来日してから“もっと日本人とコミュニケーションを取りたい“と思って大学院で社交ダンスのサークルに加入したのですが、パレスチナの大学院生同士のコミュニケーションと同じ感覚で日本人と接していたら、日本人の学生達はサークル内での上下関係をとても気にしていることに気付き驚きました。これは、サークルへ入るまで気づかなかったことなのですが、気軽に話しかけると(話しかけた相手に対して)”馴れ馴れしい“と思われることを知り、とても驚きました。

■パレスチナでは上下関係に厳しいと感じるようなことはありませんか?

 あまり・・・ありません。たとえば先生と話すときでも、先生と生徒互いに対等な関係でいたい、仲良くしたいという思いがあるので、あえて上下関係を厳しくするようなことはありません。なので、こんなに日本人が上下関係を気にするということを知った時は正直ショックでした(苦笑)。とくに、スポーツのサークルは厳しいということを強く感じました。しかしそれでも、(ここからの話は今回のテーマにも繋がるのですが)日本で興味を持ったこと、好きなことは、(日本は)国全体がまとまっているところです。

■「国全体がまとまっている」とは、具体的にどういう意味ですか?

 パレスチナで生活をしていた頃から、「日本は全てのことが整備されている」「日本の公共交通機関はしっかりしている」「日本人は礼儀正しい」ということを何度も聞いたことがあり、知っていました。しかし、実際に日本で生活をしてみると、噂レベルではなく本当に国全体がまとまっていると実感することができました。たとえば、役所や銀行で手続きする時も、しっかりシステム化されていると感じました。もちろん公共交通機関を利用しても、ほとんど時間通りに動いています。これはパレスチナと全く違います。少し重い話だと思うかもしれないのですが、パレスチナは・・・正直無茶苦茶だと感じることが多いです。そのため、普段何をする時でも、どのように判断すればいいのか、行動すればいいのか凄く迷うことが多かったです。なので、日本で生活をするまでは、「自分の語学力だけで本当にやっていけるのか」と正直心配していました。

 しかし、実際に日本で生活をしてみたら留学生にも優しい仕組みができていて、語学力が完璧じゃなかったとしても日本では暮らすことが可能だということを知り、やっぱり日本は人が生きやすい国だと感じました。だから、私は日本での生活は好きです!でも・・・上下関係にだけは慣れることができません(笑)1年たっても!!日本語を話せるようになっても、私はパレスチナで生まれ育って感覚や癖はパレスチナ人ままなので、慣れません・・・難しいですね(苦笑)

■最後に、これから留学してくる後輩達へメッセージをお願いします

 留学生同士や、パレスチナ人同士で話をしていると、「日本人とコミュニケーションを取ることは本当に難しい」「仲良くなれない」「壁を感じる」といった話をよく耳にします。その結果、留学生活を諦めて帰国した人の話もよく耳にします。しかし、それだとやっぱり寂しいですよね。だから、私が留学生達にアドバイスをするとしたら、「しっかり日本語を学んで、母国との文化の違いを受け入れる努力をしてください」と伝えたいです。たとえば、中東では他人同士が仲良くなることは簡単です。上下関係もないし、ボディータッチも多くてみんなフレンドリーなので、直ぐに仲良くなることができます。しかし、日本では上下関係があって、ボディータッチも少なくて、初めてあった人に対して警戒する癖があります。国籍が違えばなおさらです。でも、一気に無理をする必要はありません。少しずつでかまわないので、文化や考え方の違いを受け入れて、日本語をしっかり学んで話す努力をしましょう。そうすれば、時間はかかっても少しずつ日本人とコミュニケーションを取ることができますよ!

ハムダーン ヌール

国・地域
パレスチナ
居住地
東京都
得意カテゴリ
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