皆さんこんにちは!2022年の11月に中国の広東省深圳市から来日した留学生のジャーン ルイウェンです。突然ですが、私の記事を読んでくださっている人の中に、金融や証券業界に興味を持っている人はいますか?私は、今回東京証券取引所へ見学に行くまで全く興味がありませんでした。なぜなら、株取引用の数字がぎっしり書かれた画面を見るたびに、目がチカチカし頭が痛くなったり、株の投機で失敗して家を売ることになった同僚の話を聞いたりしたことがからです。そのため、株式や債券などの売買取引に対して良いイメージが持てず、証券金融業界には罠がたくさん仕掛けられているから用心しなければいけないという思いを持っていました。しかし、今回の東京証券取引所を見学したことで、今までとは違う視点から株式や債券などの売買取引について考えることができるようになったので、皆さんにも情報を共有したいと思います。
■東京証券取引所見学ツアーってなに?
まず、東京証券取引所の見学は2種類あります。1つは事前予約が必要なく、自由に見学できる「自由見学」、もう1つは「案内付き見学ツアー」です。
案内付き見学ツアーの場合
・対象:年齢を問わず一般の方
・人数:1名~40名
・案内時間:1日4回(9時~、10時~、13時~、14時~)
・ツアー時間:60分
・内容:ビデオ上映(10分)/東証Arrowsの説明(50分)
※オプション付きのコースもあります
※案内付き見学ツアーは条件を満たせば英語での案内ツアーに参加することができます。詳しく知りたい方は、最後にお知らせするリンクから応募方法を確認してください。
※証券取引所は大阪にもあります。大阪でも同じように見学ツアーが開催されているので、こちらも気になった方は最後にお知らせするリンクから応募方法を確認してください。
■このツアーに参加して学んだこと
①金利の低い日本で幸せになる方法、資産運用の大切さ
問題:幸福を得るために必要なものはなんですか?
回答:お金、あるいはお金を上手に使う能力です
これは、見学ツアーで見たアニメ「証券魔王」に登場した台詞です。この言葉を聞いて、私は中国にもお金にまつわる言葉があったことを思い出しました。
中国語:一文钱难倒英雄汉/翻訳:一文無しで英雄になれず
意味:偉い人(英雄)でも、お金が必要な時に、お金なければ、何もできない
中国語:贫贱夫妻百事哀/翻訳:貧しい夫婦は百の悲しみ
意味:貧乏で身分の低い夫婦にとっては、(貧しい故に)何もかも悲しい
私が来日したのは2022年の11月ですが、その頃と比べても、日本は常に物価が上昇しています。たとえば、“卵”。卵は数カ月前まで1パックを200円前後で購入することができていたのですが、今は300円前後に値上がりしました。しかし、ニュースを見ていると日本の賃金は上がっていないのに物価が値上がりし続けているため、日本で生活をしている人達の幸福度は確実に下がっていることがわかります。この場合、最も重要なことは節約ではなく、限られた収入の中でのお金を増やすことです。(※節約していることは大前提のため省きます)
次に、アニメ「証券魔王」の中では「100万円を(日本の)銀行に10年間預けると、利息はいくらですか?」という質問がありました。答えは・・・「100円」です。信じられますか?銀行に10年間もお金を預けているのに、利息はたったの100円・・・。私は、以前から日本の金利が低いことは知っていたのですが、こんなに低いとは思ってもみなかったので、年間利回りがわずか0.001%ということを知って愕然としました。
現在、中国も預金金利の低下に直面していますが、1年の平均利率は2~3%です。ちなに、経済が好調だった頃は1年の平均利率は4~5%です。そのため、中国では「FIRE(financial independent retire early)/経済的自立と早期リタイア」→25年分の生活費を貯蓄して、毎年4%の資産利益率を目指し、お金の問題から解放されよう”という考え方が流行っています。(※これは米国で言われていたFIREの目標値と同じです)私の友人もこの目標に向かって人生設計を立てており、早期退職を目指しています。しかし、今の日本では不可能だと思いませんか?夢物語に聞こえてしまいますよね。そのため、この現実をカバーするためには株式や債券に目を向け、他の投資形態の重要性を学ぶ必要があるのです。
日本では給料を貰う際、厚生年金、雇用保険、健康保険、源泉所得税、住民税、(40歳以上からは介護保険料)と沢山のお金が差し引かれるため、実際に受け取れる金額は少なくなります。さらに、昇進や転職によって年収がアップした場合、所得額が増えたことによって各種税金や保険料が高くなり、実際に受け取れる金額が昇進や転職する前よりも下がることがあります。しかし、恐ろしいことに、これだけ多くのお金を払っても日本では退職年金だけで生活することが年々困難になっています。つまり、この現実を受け入れないまま日本で働き続けた場合(現在と状況が変わらなかった場合)一生懸命働いても老後の保障はなく、働くだけで人生が終わってしまうのです。私は、アニメ「証券魔王」を見て、日本の経済状況を知り、日本で生活を続けていきたいのであれば早めに計画を立てて投資や資産運用をしなければいけない、そのためにもお金についての知識を若いうちから正しく学ぶことの大切さを学びました。
②証券取引の面白い歴史
コンピューターが普及する前の証券取引所を映像で見てみると(1990年代頃まで)、取引所内にある立会場(たちあいじょう)では、多くの人がトレーナーに詰めかけ、手話のようなやり取りをして遠くにいる相手に取引情報を伝えていました。(※詳しく知りたい方はコチラをご覧ください)たとえば、左手は10円、右手は1円を表します。その他、手のひらを自分に向けると“買い入れ”、手のひらを外に向けると“売り出し”を意味します。さらに、三菱、トヨタ、日立などのよく知られた上場企業には、専用の手話の組み合わせがあり、車の場合は、本当に「ハンドルを握る」動作があったそうです。面白いですよね!ちなみに、取引所の立会場で、手サインを使って売買注文を伝達する証券マンのことは“場立ち (ばたち)”といいます。
立会場で電話や無線機を使わなかった理由
理由は簡単です。立会場では伝達遅れると損失が数百万から数千万円になる可能性があります。そのため、立会場は戦場とかし、非常に騒々しく、怒り狂った顧客の声が常に飛び交っていました。そんな中で、電話や無線を使ってコミュニケーションを取れますか?難しいですよね。そこで登場したのが手サインです。しかし、1999年4月末に立会場が廃止されたので、今では見ることができません。もし、タイムマシンがあるなら近くでバブル全盛期の立会場を見てみたいです。
③お金の増やし方
・あなたが手にした証券の金額:1,000万円
・期限:10日間(※実際は30分です)
・3つの異なる企業:輸出入の分布、産業、貿易の種類などに基づいて代表的な3つの企業
・投資原則:「利益と株価の関係」、「経済の景気と株価の関係」、「輸出入貿易と株価の関係」
ゲームストーリー:あなたは、1,000万円の証券を手に入れました。その証券を3つの異なる企業との取引を通じて、最大の利益を得る必要があります。期限は10日間です。この10日間の間に、「政策」や「ニュース」が続々と発表されます。例えば、「新エネルギー車に好影響」、「経済の下降」、「銀行の利率再度引き下げ」などです。これらの政策やニュースに基づいて、あなたは素早く投資戦略を調整し、最大利益を得てください。
結果:私は、このゲームがスタートしてから数秒ほど躊躇してしまった結果、その間に株価が急上昇してしまい低値での利益を得るチャンスを逃してしまったのですが、同じタイミングでゲームをした人の中には1,000万円を1,300万円に変え、10日間で30パーセントの利益を出した人もいました。実際の取引では、より複雑な手続きや待ち時間、取引ルールなどもあるため、ゲームのようにはいかないことが沢山あると思うのですが、今回ゲームを通して投資に興味を持つことができたので、この経験を活かして、これから少しずつ自分でも学んでいこうと思います。
■まとめ
東京や大阪に住んでいる皆さん、または、お金の仕組みについて学びたいと思っている皆さん!時間があるなら、ぜひ東京証券取引所へ見学しに行ってみてください。ここでは東京証券取引所の面白い歴史を学べるだけではなく、ゲームを通して“お金”についても学ぶことができます。最初にも少しご紹介しましたが、条件を満たせば英語での見学ツアーも開催してもらえます。ちょっとしたきっかけで、自分の人生を良い方向に進めることができますよ!最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
■東京証券取引所見学ツアーについて知りたい方はコチラをご覧ください
■大阪証券取引所見学ツアーについて知りたい方はコチラをご覧ください