オススメの場所
2023.03.16

ロシア出身の私が日本で見つけたオススメの場所:東京都 板橋区

 П р и в е т ( プリヴェート : こんにちは )!はじめまして。私はロシアの首都モスクワから参りましたアナスタシアと申します。2022年7月に来日しました。私は中高生の頃から日本語を必須科目として勉強していたのですが、勉強をしていくうちに日本語の発音にも興味を持つようになり、日本語と日本の文化をもっと詳しく勉強したいと思うようになりました。そこで大学進学の際はモスクワ市立教育大学の東洋学部に入学したのですが、大学で日本の歴史、芸術、文学を学べば学ぶほど実際に日本で学んでみたいという気持ちが強くなっていきました。

 その後大学を卒業し、日本の文化と関わることのできる仕事を見つけるため、国際交流基金モスクワ日本文化センターへ就職をして日本の文化を紹介するようなイベントをサポートしながら1年間働いていたのですが、やはり、日本で生活をすることが私の夢だったので、退職して日本へ留学することにしました。現在は、東京にある日本語学校へ通っていますが、卒業後は日本で働きたいと考えています。私の夢は、日本社会の一員となり、日本の将来に繋がる仕事をすることです。

 ちなみに私が日本で1番興味を持っていることは平安時代の「歴史」と「文学」ですが、平安時代の貴族の生活、文化の発展、文学の特徴には魅力がたくさんあると思います。たとえば女性が自由に自己表現することができたことで、日本初の日記文学もこの時代に完成させることができました。私は日記文学の先駆者、清少納言が綴った「枕草子」という本が特に気に入っているのですが、彼女自身が体験した宮殿での生活や自然の美しさについて細かく綴っている文章を読むと、普段何気なく繰り返されている日々も全て愛おしく感じることができます。皆さんも興味があれば、ぜひ読んでみてください。

■板橋区の魅力をご紹介

 今回ご紹介する板橋区には、綺麗な景色や広い公園、美味しいお店がたくさんあるのですが、海外から日本へ訪れた人達の間では知られていないことが沢山あります。なぜなら「観光」で訪れた場合は時間が限られているのでガイドマップで紹介されているような浅草、六本木、渋谷などの有名な観光スポットだけを巡ることが多いからです。

 実際、私も観光で東京へ訪れた時は時間が限られていたので「板橋区」について何も知らなかったのですが、東京で生活をはじめてみると、都心から離れた場所や観光名所以外にも魅力的で素晴らしい街が沢山あることに気付きました。そこで今回は東京都板橋区に絞ってオススメをご紹介したいと思います。

■板橋区のオススメスポット①:東京大仏乗蓮寺(とうきょうだいぶつ じょうれんじ)





 もし私の記事を読んで実際に乗蓮寺へ行きたいと思った方がいた場合、乗蓮寺の歴史についても少し知っていた方がより楽しめると思うので、まずは簡単に乗蓮寺の歴史について説明したいと思います。

乗蓮寺の簡単な歴史

■1394年~1428年(室町時代)に現在の板橋区仲町周辺に完成
■その後、現在の板橋区仲宿へ移転
■1743年(江戸時代)8代将軍「徳川吉宗」が鷹狩りの際、乗蓮寺で休憩したことで「御膳所(ごぜんしょ)」に指定される
■1971年に高速道路建設の影響を受け現在の板橋区中宿周辺から板橋区赤塚へ移転
■1977年4月11日に東京大仏が完成
※座像で青銅製の鋳造(ちゅうぞう)大仏としては日本で4番目に大きい

 乗蓮寺は今から約600年前の室町時代に建てられたお寺です。当時は板橋区の仲町周辺にあったのですが、2度の移転を繰り返し、現在は板橋区赤塚にあります。
(※室町時代といえば、日本の伝統文化「能・狂言」「生け花」「茶道」などが誕生した時代です)
 1591年(江戸時代になる12年前)日本の歴史を好きな方なら誰でも知っている徳川家康から10石の朱印地を与えられたことがきっかけで格式のあるお寺になりました。(ちなみに徳川家康以降も徳川幕府の将軍から朱印地を与えられています)その後、江戸時代の8代将軍、徳川吉宗が鷹狩りをした時に雨宿りをしたことがきっかけで将軍(天皇の次に偉い人)の休憩所としても使われるようになりました。そのため、このお寺には今でも当時の貴重な文化財が沢山残っています。
※10石・・・1石が現代の価値で約27万円なので×10倍で270万円(※1石27万円は諸説あり)

乗蓮寺の注目ポイント①:8つのユニークな石像





 今から紹介する8つのユニークな石造は板橋区の登録有形文化財に指定されています。私の母国ロシアやヨーロッパには美しい石造建築や石造が数多く残っているのですが、デザインや石の削り方がひとつみても違うので面白いです。乗蓮寺へ訪れたら是非見つけてみてください。(※8つの石造は乗蓮寺境内で見ることができます)

①鉄拐仙人(てっかい せんにん):鉄の杖を持っている医薬の神様
②奪衣婆(だつえば):亡くなった人が渡る川(三途の川)の岸にいる鬼。亡くなった人の罪の重さを測る鬼
③天邪鬼(あまのじゃく):人の心を読んでイタズラをする鬼
④恵比寿(えびす):日本に昔からいる商売の神様
⑤大黒(だいこく):古代インドの怖い神様
※日本では恵比寿様と大黒様は親子で、2柱揃うとお金に恵まれると言われている
⑥文殊菩薩(もんじゅぼさつ):学問の神様
⑦布袋尊(ほていそん):布袋尊は福をさずけてくれる神様
⑧役行者(えんのぎょうじゃ)/役小角(えんのおづの):日本最古の呪術者

乗蓮寺の注目ポイント②:乗蓮寺のシンボル東京大仏





 高さ13メートル、頭部3メートル、重さ32トンの東京大仏は1923年に東京を襲った関東大震災や1942年から1945年まで続いた東京大空襲などの悲惨なことが2度と起こらないように願いを込めて1977年4月11日に建てられました。私が初めて東京大仏を見たのは夏だったのですが、真っ青な美しい空と青々とした木々を背景に佇み優しく微笑みかけてくれる大仏様を見て心がとても和みました。その後、鎌倉や奈良にある大仏様も見に行ったのですが、鎌倉や奈良の大仏様は乗蓮寺の大仏様よりももっと大きいですね!!とてもビックリしました。ちなみに、気になって調べてみたのですが、乗蓮寺にある東京大仏様は座像で青銅製の鋳造(ちゅうぞう)大仏としては日本で4番目に大きいそうです。日本へ旅行で訪れた際、鎌倉や奈良の大仏様を見に行く人は多いと思うので、ここ乗蓮寺へ来て私と同じように大仏様を見比べてみるのも面白いと思います。もし、遠くへ行くことが出来ない人は板橋区赤塚にある乗蓮寺の東京大仏だけでも見に行ってみてください!

■板橋区のオススメスポット②:板橋区立美術館

 次にご紹介する場所は乗蓮寺から歩いて5分の所にある東京都23区初の区立美術館「板橋区立美術館」です。ここでは日本絵画の中で最も評価された絵師集団の江戸狩野派をはじめとする近世絵画や、大正から昭和初期の最先端美術作品を見ることができます。ちなみに板橋区立美術館は2019年に改修工事が終了し再オープンしたばかりなので館内は新しい建物の匂いがします。この他にも板橋区立美術館ではイタリア・ボローニャ国際絵本原画展をはじめとしたイラストやデザインに関するユニークな展覧会も複数開催しています。最寄り駅からは少し離れているのですが、マニアックな作品鑑賞を楽しんだり、美術館近くの公園で釣りをしている人を眺めたり、時間を忘れてのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか?私は、この場所へ訪れると公園に設置されている机を利用して日本語の勉強をしたり本を読んだりしています。静かな場所で勉強したい留学生にとっても最適な場所だと思うので是非皆さんも訪れてみてください。

■まとめ

 私が東京で生活をしていて好きなところは、都心であろうと、都心から離れているところであろうと、どこにでも魅力的な場所や美しい景色があることです。しかし、忙しい日々に追われているからなのか東京で生活をしている日本人の方でも乗蓮寺や板橋区立美術館のような場所に気付かない人が大勢いるような気がします。そこで別の視点から考えてみると私達留学生の場合は、違う文化の国から訪れているぶん新しい発見をできる可能性が高いと思いました。そして、遠くの観光スポットへ行かなくても今回私が紹介した乗蓮寺で東京大仏やユニークな石造を見たり、近所の公園を散歩したり、美術館へ行ったりすることで新しい発見をするだけではなく、日本へ訪れる方達に向けて自分が学んだことを発信していけると思いました。ぜひ留学生の皆さんも自分の身近な場所を歩き回って新しい発見をしてみてください。とくに板橋区がオススメですよ!最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

グドコワ アナスタシア

国・地域
ロシア
居住地
東京都
得意カテゴリ
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