こんにちは。2022年の10月に中国の上海市から来日したRaeです。突然ですが、この記事を読んでくれている皆さんは信仰している宗教はありますか?私の故郷中国では、多くの人が仏教を信仰していて私の家族も仏教徒なのですが、先日、和歌山県にある高野山で宿坊体験をした際、中国と日本の仏教では異なる点が沢山あることに気付き面白いと感じました。そこで今回は、高野山で体験した宿坊や中国仏教と日本仏教の違いについて紹介したいと思います。
■高野山の簡単な紹介
・正式名:高野山金剛峯寺(こうやさんこんごうぶじ)
・場所:和歌山県 伊都郡 高野町
・高野山を開いた人:弘法大師空海
・宗派:真言宗
※真言宗とは:大日経などの真言密教をもとに修行する宗派
■中国と日本の仏教はココが違う!
中国仏教(大乗仏教)の場合
・宗派はあるが、日本ほどはっきりとわかれていない
・檀家制度はなく、葬儀の際、宗派は関係ない
日本仏教(大乗仏教)の場合
・宗派がはっきりわかれている(13宗56派)
・檀家制度や葬儀の際は宗派によって決まりごとが異なる
※檀家制度(だんかせいど)とは、日本の仏教寺院(寺)が、それぞれの檀家の葬祭供養を独占的に執り行なうことを条件に結ばれた、寺と檀家の関係のこと
もともと仏教はインドから各地へと伝わったものですが、2つの流派にわかれていて、私の故郷中国や日本に伝わる仏教は、この世に生まれ生きているもの全ての救済を目的とした「大乗仏教(だいじょうぶっきょう)」、タイやミャンマーに伝わる仏教は、個人の救済や厳しい修行を目的とした「上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)」です。更に、仏教が伝わった国では複数の宗派が存在し、同じ仏教でも様々な考え方が存在するのですが、中国の仏教は宗派がわかれていても決まったお寺に通ったり宗派によって厳重な決まり事があったりすることはありません。しかし、日本の場合は宗派によって厳重な決まりごとや檀家制度があることを知り驚きました。たとえば1番わかりやすい違いは、お葬式です。日本では同じ仏教徒でも宗派が違った場合はお経や葬儀での作法が違うため、葬儀を頼むことができません。また、中国の場合は故人1人に1つのお墓というスタイルですが、日本は先祖代々続くお墓に家族で入るため宗派が違った場合は同じお墓に入ることができません。日本の仏教宗派は知れば知るほど複雑だと思いました。
■高野山で宿坊体験!実際に体験してみて気づいた違い
・宿坊の料金が違う(日本の方が高い)
・修行体験が義務ではない(日本は自由)
・精進料理が違う(日本は見た目も芸術性を感じる)
「宿坊(しゅくぼう)」とは、仏教寺院や神社の境内に設けられた宿泊施設のことです。元々は僧侶や参拝者だけが泊まれる施設だったのですが、高野山山上にある52カ所の宿坊では一般の観光客が泊まる場所としても受け入れています。そのため、日本の宿坊は中国の宿坊と比べて料金が高く、高級旅館と同じような値段の宿坊も存在します。また、中国で宿坊に泊まった場合は必ず僧侶達と同じ生活リズムで寺院の日常業務をこなさなければならないのですが、日本の場合は参加自由の場合が多いです。
この他、宿坊では僧侶達と同じように精進料理(しょうじんりょうり)を食べるのですが、日本の宿坊で提供される精進料理は季節の食材が美しく芸術的に盛り付けられているのに対し、中国の寺院で提供される精進料理は
・不殺生戒:生きものを殺さない
・不偸盗戒:物を盗まない
・不邪淫戒:性行為を行わない
・不妄語戒:嘘をつかない
・不飲酒戒:酒をのまない
という戒律に従っているため素朴です。そして、修行を妨げ、煩悩を強めると言われている三厭五葷(さんえんごくん)も避けて作られているため食材の味そのものを味わう料理になっています。
■三厭五葷(さんえんごくん)とは
三厭(さんえん)
①天厭・・・鳥、鶏など
②地厭・・・牛、豚など
③水厭・・・魚類(※海藻類は食べる)
五葷(ごくん)
①ニラ
②ニンニク
③ラッキョウ
④アサツキ
⑤ネギ
※中国の精進料理は一見ベジタリアンのように見えますが、五臓に悪い食べ物とされている五葷(ごくん)と、これらに関する脂、出汁、卵、乳製品も食べることができません。
■宿坊体験をする時の注意点
中国で宿坊体験をする場合は、質素な宿泊施設で寝泊まりをしたり、自分達で寝具を用意したり、寺院での日常生活に必ず参加する必要があるため「修行」というイメージを持ちやすいと思うのですが、日本の場合は宿坊体験の値段も高く、寺院での日常生活に参加するかどうかは自己判断で、常に清潔な空間が用意されていたり、マットレスなどではなく畳の上に布団を敷いて寝るスタイルだったり、精進料理もベジタリアンというより懐石料理のように提供されるため、「修行」というイメージを持ちにくいと思いました。そのため、日本で宿坊体験をした人の中には仏教のことを全く理解できずにアクティビティだととらえる人もいると思うのですが、宿坊体験をする人は参加する前に、仏教とはなんなのか、宿坊体験にはどんな意味があるのか、宿坊で提供される精進料理とはなんなのか正しく理解してから参加することをオススメします。元々仏教徒で、宿坊体験のことを理解できている人にとっては、日本の仏教文化を深く体験できる貴重な機会になるので、ぜひ朝早くから僧侶によるお勤めやお経の朗読などに参加して心を浄化させ、静寂な時間を堪能してください。
■日本のお寺や神社へ行ったら体験してほしいこと
日本のお寺や神社へ行ったら体験してほしいこと!それは、「御朱印(ごしゅいん)」です。御朱印とは神社やお寺を参拝した「参拝証明」のことで、御朱印帳とよばれる帳面にお寺とご本尊の名前をしたため、当日の日付を入れた半紙に朱で押印してもらったものです。各寺院や神社の御朱印は独自のデザインやスタイルを持ち、寺院や神社の名前、日付、関連する祈りの言葉や経文などが記されているため、信仰の記念品としてだけでなく、アート作品としても収集や鑑賞の対象となっています。御朱印長は文具店や、神社やお寺の境内で販売されていて、値段も御朱印長は1,000円前後、御朱印代は数百円なので気軽に始めることができます。是非、皆さんも御朱印集めに参加してみてください!
■まとめ
宿坊では、その国の文化に触れながら、心身の浄化と成長に貢献できる素晴らしい体験をすることができます。ぜひ、皆さんも機会があれば、自分自身の心の声に耳を傾け、寺院の門を叩いてみてください。その体験は、新たな視点や気づきをもたらし、人生を豊かにすることでしょう。最後に、寺院の宿坊体験を私と一緒に分かち合ってくださり、お読みいただきありがとうございました。皆さんの心に平和と光が満ち溢れることを願っています。